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観光庁、第3回サステナブルな旅アワード 再生型観光と「稼げるモデル」が存在感

  • 2026年1月26日

 観光庁は1月22日、第3回「サステナブルな旅アワード」の表彰式を都内で開催した。大賞には富山県西部観光社 水と匠の「カイニョお手入れツアー」が選ばれ、準大賞、地域未来賞、特別賞を含む計10団体が受賞した。持続可能性に加え、地域を再生させる観光と事業としての自立性が評価の中心となった。

 表彰式には村田茂樹観光庁長官が出席し、受賞団体に賞状を授与した。村田長官は挨拶で、訪日外国人旅行者数が4000万人を超えるなどインバウンドが力強い回復を続ける中、世界的に持続可能性や自然、体験型観光への関心が高まっていると指摘した。その上で、次期観光立国推進基本計画においても、観光地が持続的に発展するための取り組みを盛り込む考えを示し、旅行業者が地域の多様な関係者と連携し、その土地ならではの自然や文化を生かした高付加価値商品の造成と販売を通じて、観光地の持続可能性を牽引する役割を担うことに期待を示した。

 大賞を受賞した富山県西部観光社 水と匠は、砺波平野に広がる散居村の屋敷林(カイニョ)の保全活動そのものを旅行商品化した点が高く評価された。受賞挨拶で同社プロデューサーの林口砂里氏は、「観光は地域再生のための手段であり、散居村の景観はCO2吸収や防災・減災、生物多様性の維持にも寄与する優れたエコシステム」だと説明した。

 また同ツアーを通じ、来訪者からは地域内の空き家を購入したい、あるいは物件開発に投資したいといった声も寄せられているという。林口氏は、こうした反応以上に意義深い点として、活動を重ねる中で地域住民の意識が変化してきたことを挙げた。これまで当たり前だと思われていた散居村の景観や暮らしが、外部から高く評価されることで、地域の人々が自らの資源に誇りを取り戻すきっかけになっているとし、観光を通じた関係人口の創出が、地域の将来像を前向きに描く力につながっているとの認識を示した。

 審査委員長を務める小林英俊北海道大学観光学高等研究センター客員教授は総評で、今回の受賞商品には三つの大きな特徴があると述べた。第一に、観光客が増えるほど地域環境が良くなる再生型観光への進化が具体的な成果として現れてきた点。第二に、IターンやUターンの若い人材が中心となり、地域に入り込み新しい発想で観光と地域づくりを進めている点。第三に、関係者が適正な対価を得て、次世代の担い手育成まで見据えた「稼げる」商品づくりが広がっていることで、日本のサステナブルツーリズムが新たな段階に入ったと評価した。

 表彰式後に行われた意見交換会では、各受賞団体が取り組みの成果や課題を共有し、地域資源の磨き上げ方や住民との協働、価格設定の考え方などについて活発な議論が交わされた。参加者からは他地域の事例から多くの示唆を得たとの声も聞かれ、今後の横展開に期待が高まった。

受賞区分 団体名 商品名・取組名 地域
大賞 富山県西部観光社 水と匠 カイニョお手入れツアー~次世代へ紡ぐ、散居村保全と循環型社会の再生~ 富山県砺波市・南砺市
準大賞 BASE TRES 伊豆半島の森と海とを循環させる、リジェネラティブ・ガストロノミーツアー 静岡県松崎町
地域未来賞 鮎里ホテル(清流山水花あゆの里) The Best of Kuma Valley 人吉球磨を巡る特別な旅 熊本県人吉市
エルボスケ/鳥取県八頭町 地域と連携、季節毎に里山の自然を探究するシリーズ
春編:希少な野鳥観察
夏編:多様な生物に出会う探究学習
秋編:地域農業生産者と連携したアグリツーリズム
鳥取県八頭町
Inaka Travel Akita(遊名人) 角館半日ツアー~職人と文化と食を巡る旅~ 秋田県仙北市
特別賞 十日町市観光協会 十日町縄文ツアーズ 新潟県十日町市
NELCrew 祓川ワンダーカヤック:生命あふれる奇跡の祓川で学ぶ時空を超えて自然とつながる旅 三重県明和町
南信州観光公社 南信州こだわりの旅 長野県飯田市
明和観光商社 革新する和紙を使った伝統工芸 伊勢志摩擬革紙クラフト体験 三重県明和町
明和観光商社 「一日氏子」体験~神様と地域を支える一員になる特別な一日~ 三重県明和町