テクノロジーとAIが変える、OTAと体験ビジネスのこれから-KYOTOyui 近藤芳彦氏
予約前のワクワクづくりも、予約後のフォローもAIが支援
最近よくあるのが、チャットボットによるカスタマーサポート。日本語だけじゃなくて英語やタイ語、韓国語、中国語でも対応できるようになっていて、インバウンドのお客様とのやり取りがスムーズになってきました。たとえば、東京を拠点にインバウンド向け体験を展開しているある事業者では、予約前のお問い合わせ対応に多言語チャットボットを導入したところ、「問い合わせ対応の手間が減っただけでなく、ユーザーが安心して予約に進めるようになった」と言います。
特に英語や中国語での質問が多い中で、スムーズな応答ができるようになったことで、予約数が増加したという実例もあります。
さらに言うと、体験後にレビューを書いてもらう仕組みづくりもテクノロジーの力が欠かせません。アソビューではレビュー率が売上に直結すると言われていて、自然な形で「ありがとう」を伝え、次の予約にもつなげる工夫が求められます。ここもAIを活用すれば、パーソナライズされたサンクスメッセージやクーポン送付が自動化できるようです。
OTAとの付き合い方も変わってきた
これまでOTAは「集客のために手数料を払って載せる場所」みたいな印象が強かったですが、今は違います。たとえばKlookでは、事業者向けにダッシュボードを提供していて、どんな国から、どんな属性の人が、いつ予約しているのかを可視化できます。これ、かなり使えます。
体験商品って天候や季節に左右されやすいんですが、AIを使った需要予測ができれば、準備の仕方も変わってきます。たとえば「来週は台湾からの観光客が増えそうだから、中国語スタッフを多めにシフトに入れよう」みたいな判断ができるようになるんです。
「人の価値」を最大化するためのテクノロジー
こうやって見ると、AIやテクノロジーって、ただの業務効率化ツールじゃないんです。むしろ、人間らしい"おもてなし"や"対話"にこそ、より多くの時間を使えるようにしてくれる存在。これは大きな価値です。
もちろん課題もあります。地方ではまだまだIT人材が少ないですし、「ツールはあっても使いこなせない」という声も多い。でも最近は、ノーコードツールや使い方を解説してくれる支援も増えてきていて、「やってみよう」と思えば、意外と手が届くようになってきました。
最後に
観光の本質は、どこまで行っても「人と人との出会い」にあると思っています。AIやデジタルは、それをもっと豊かに、スムーズにするための"道具"。OTAや体験事業者として、私たち自身も学びながら、使いこなしながら、これからの時代に合った体験価値を一緒に育てていけたらと思います。
株式会社KYOTOyui代表取締役。トラベル京都代表。京都観光サポーター。1972年3月生まれ、大阪トラベルジャーナル旅行専門学校卒業後、旅行会社に3年ほど勤めるが、結婚を機に退職し、その後は他業種に就いたものの2006年に旅行業を立上げ、2016年には法人の観光業を営んでいる。趣味は「旅×仕事」です。