【FAMレポート】米国建国250周年だけじゃない、2026年フィラデルフィアが注目の理由

  • 2025年6月27日

圧巻のアートと歴史を語る場所を堪能する

 アメリカ建国を語るうえで不可欠の場所であるフィラデルフィア。また、その長い歴史を通じてさまざまなアートに投資をしてきた街でもある。米国最大級のコレクションを誇るパブリックアートが街中を飾り、ベンジャミン・フランクリン・パークウェイに沿っては「ミュージアム・マイル」と言われるほど美術館や文化財が並ぶ。これらはホップオン・ホップオフ・バスで回れる。

 壮大な図書館「フリーライブラリー」、印象派・ポスト印象派の有名作品が所狭しと展示されるミュージアム「バーンズ財団」、「ロダンミュージアム」、そしてロッキーステップを駆け上がった先の「フィラデルフィア美術館」とどれもがコレクションの数も内容も素晴らしい美術館が並ぶ。

バーンズ博士の邸宅を巡るような「バーンズ財団」とガーデンレストランでのランチ。

 なかでも「バーンズ財団」は、アルバート・C・バーンズ博士が自邸の膨大な個人コレクションを教育目的のためのみに公開していたものが元。博士の死後、財団により移転が計画されて2012年にこの地で開館した。博士の自邸でのインテリアを踏まえた展示は、圧倒的な数のルノワールとセザンヌやマティスに加えてピカソ、ルソー、モディリアーニなどの名作と色彩や形などバランスがとられた当時のインテリアも再現されており、作品と解説が並ぶ美術館とは一線を画し、圧倒される。美しい庭を望むガーデンレストランも人気のスポットだ(11時〜15時ランチ営業のみ)。

大空間の「フィラデルフィア美術館」も見応えがある。お寺や茶室の再現コーナーも。

 「フィラデルフィア美術館」は、1876年アメリカ建国100周年に建設されたメモリアルホールが1877年に美術館となったもの。古代から現代にわたる数々のアートの名作品に加え、空間再現もされており、日本のコーナーでは奈良の寺や茶室がそのまま館内に建っていて驚かされる。

「バダス女性史ツアー」は、リバティベルから始まり、最後はレインボーの横断歩道が印象的なLGBTQタウンで解散。

 また、FAMではフィラデルフィアの歴史的な建物と変革をもたらした女性史を中心とした2時間のウォーキングツアー「バダス女性史ツアー」に参加した。アメリカ独立宣言とともに鳴り響き、奴隷制廃止運動の象徴ともなった「リバティベル」からスタート。ジョージ・ワシントンの元から自由を求めて脱走した女性奴隷オナ・ジャッジ、20世紀のLGBTQアクティビストであるバーバラ・ゲッティングスなどを紐解きながら、今も人が住み続ける米国最古の美しい通り「エルプレスの路地」なども訪れ、LGBTQタウンで解散する。内容はコアだが、フィラデルフィアの独立精神や自由へのこだわりなどを感じることができた。