訪日高付加価値旅行が急成長、日本市場での存在感高まる 市場別では台湾が大きな伸び

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年の調査によると、訪日高付加価値旅行市場における旅行者数および消費額がいずれも大幅に増加し、いずれの伸び率も世界全体の平均を上回った。調査対象となったのは、1人あたりの現地消費額が100万円以上の「高付加価値旅行」で、地方誘客や観光消費額の拡大を目指す政府にとって重要なターゲット層とされている。

 訪日高付加価値旅行者の消費額は、2019年の6744億円から2023年には1.0兆円に達し、50.6%の増加となった。これに対し、同年の世界全体の高付加価値旅行者による消費額は約21兆円で、2019年比17.6%増にとどまっている。同様に、訪日旅行者数は32万人から59万人へと83.2%増加し、世界の伸び率(32.5%)を大きく上回った。

 この結果、訪日外国人旅行消費額全体に占める高付加価値旅行の比率は、2019年の14.0%から2023年には19.1%に上昇。旅行者数に占める割合も1.0%から2.4%に拡大しており、日本における富裕層観光の存在感が明確に高まっている。

 市場別に見ると、訪日高付加価値旅行者による消費額の上位3カ国は中国(23.0%)、米国(16.3%)、台湾(13.1%)で、旅行者数の割合も同様の順位であった。特に台湾は、旅行者数ベースで2019年の4.1%から2023年には12.7%へと大きく構成比を伸ばしており、新たな成長市場として注目される。また、米国も消費額・旅行者数ともにシェアを拡大しており、高単価旅行需要の堅調さがうかがえる。

 一方で、2019年に構成比が高かったシンガポールや中東は2023年にかけてシェアを減少させており、市場間での動向に変化がみられた。なお、2023年の全体的な訪日外客数は2507万人と、コロナ前の2019年(3188万人)比で21.4%減少しており、全体回復の遅れとは対照的に高付加価値旅行は際立った成長を示した。

 JNTOでは、これらの調査結果を踏まえ、高付加価値旅行の更なる推進に向けて、対象市場の旅行会社との商談や現地プロモーション、訪日招請などを一層強化するとしている。