観光業界のシニア採用ポイント4選、後悔しない求人と選考の方法とは?-シニアジョブ中島康恵氏
3.スキルや経験のみを評価する
シニアは就職難であることから、スキルや経験以外のことも強くアピールしがちです。例えば、前職の企業規模や出世のスピード、表彰歴、人脈などのアピールはよくあります。また、健康不安が高まるために、ことさらに健康アピールや運動歴のアピールをするシニアもいます。
しかし、例えば、大企業出身だからといって優秀なわけではありませんし、優秀だったとしても、応募企業で活躍できるかはまた別の話です。健康であることに越したことはありませんが、仕事で貢献できなければ意味がありません。まずは、仕事に関係のある経験スキルの話をじっくり聞きましょう。
4.シニアに任せる仕事を切り出す
ここまでは主に、選考の中でシニアを評価するポイントややり取りの話でしたが、最後は選考以前の準備として必要な業務設計についてお伝えします。
シニアを採用する場合、既存の業務やポストをそのままシニアに任せるのではなく、シニアに任せる業務を改めて再設計することをお勧めします。特に、既存の業務の一部分などをシニア専用に切り出すことが効果的です。
例えば、中小企業での新人教育はOJT中心であることが多いのですが、シニアの業務の中で新人教育の比重を高めることは有効です。営業などメインの業務にも携わりつつ、シニアがその経験と知識を活かして新人教育に時間を割くことで、主力メンバーがコア業務に集中できるようになり、シニアも最前線に出る負荷が軽減されます。20代と60代のように年齢が大きく離れると、1回り上の世代よりもかえって摩擦が起きにくい傾向もあります。
コア業務から教育を切り出すだけでなく、他にも多様な切り出し方がありますし、結果的に他の年齢層と全く同じ業務を任せるのも問題ないのですが、シニアに何を任せるのか、事前に何も考えず、何も決めずに社内の業務を任せるのは避けましょう。
また、シニアに任せる業務を決めておくことと似ていますが、採用するシニアの「理想像」も明確にしておくことをお勧めします。
最初に挙げたシニアへの先入観を取り去る意味でも、中途採用したい「理想のシニア」を明確にし、実際に採用してみることで、シニアのイメージと評価が劇的に変化するでしょう。反対にネガティブなシニアのイメージのまま、あるいは何も考えずにシニアを採用してしまうと、ミスマッチとなる可能性が高まります。
株式会社シニアジョブ 代表取締役。1991年5月生まれ、学生時代までサッカーに打ち込み、J1ユースチームで活躍。大学4年に出資者と仲間を見つけて起業。翌2014年8月に法人登記。2016年よりシニア専門人材紹介を始め社名を変更。2022年にシニア専門求人サイトをオープン。