【欧州文化首都'26】多角的なアプローチが可能なフィンランド・オウル、冬のオーバーツーリズム緩和にも
2026年度の欧州文化首都(European Capitals of Culture)に決定しているフィンランドの中部都市オウル。2011年にトゥルクが選ばれて以来フィンランドの都市が選ばれるのは15年ぶりとあって、現地では意欲的に準備が進められている。実は世界的にもじりじりと注目を集めているオウルとはどんなデスティネーションなのか? お披露目がてら開催された、主要マーケットを対象としたプレスツアーに参加した。
ビジネスマンも多い中堅都市・オウル
欧州文化首都は1985年に初めてローンチされた当初こそ実際の首都など主要都市にフィーチャーしていたが、近年ではオープンコンペによって選出されている。タイトル戴冠期間は1年間で、年を通じて毎月のようにさまざまなイベントが開催され、大きな経済効果をもたらすとともに観光促進にも大きく寄与するため、インフラ整備や都市開発にも力を入れる自治体が多い。
オウルでも200万人のイベント来場者、20%の旅行者増を見込んでいるといい、新たなホテル建設や図書館のリニューアルといったインフラの整備を開始している。
ヘルシンキから北へ約1時間のフライト、または夜行列車で5時間という位置にあるオウルは、ラップランドではないがフィンランド北エリアの主要都市だ。人口21万5000人の中堅都で、かつて世界最大のシェアを誇った携帯電話端末大手・ノキアの"城下町"として発展したことで知られ、モバイル通信事業に強いハイテク産業の街として一目置かれる存在だ。なにしろ、ノキアショック――2008年ごろから顕著になってきたスマートフォンブームに乗り切れず、大規模なレイオフを余儀なくされた――を経てもなお、技術者が多いという街の特性を活かして起死回生に成功した地方都市なのだ。
そんなビジネスとテクノロジーの街、オウル。シティセンターはこぢんまりとしているがショッピングモールのほか、瀟洒なレストランやカフェがありどこでも歩いて行ける。図書館やオペラ座といった文化施設もあり、観劇やファインダイニングでのダインアウトなど夜のお楽しみがあるところが都会的だ。
次ページ>>"北"のアクティビティが充実