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タヒチ観光局 スローツーリズム推進図る、エア タヒチ ヌイ成田線を来年運休へ その理由は?

  • 2023年11月6日

 3年7か月ぶりに運航再開を果たしたエア タヒチ ヌイ(TN)の成田-パペーテ線が24年5月8日~10月26日に再び運休を行う。同路線は10月30日に再開したばかりだが、日本市場のアウトバウンドの回復の遅れを背景に一時運休が決定した。

Tahiti
(左から)フランス領ポリネシア大統領 観光・国際航空運送部門テクニカル・アドバイザー ギリアム・コロンバニ氏、タヒチ観光局 CEO ジョン-マーク・モスラン氏

 直行便再開に伴うワークショップとメディアラウンドテーブルのために来日したタヒチ観光局CEOのジョン-マーク・モスラン氏と、フランス領ポリネシア大統領の観光・国際航空運送部門テクニカル・アドバイザーのギリアム・コロンバニ氏は運休の理由について、「(TNは)機材を4機しか保有していない。6月~9月のハイシーズンは満席にしなくてはならない」(モスラン氏)と話しており、アウトバウンドの回復がコロナ前の約6割ほどに留まる日本に対し、旅行需要旺盛な欧米方面へ注力する。

 今年1月~9月のタヒチへのインバウンド数は米国が8万3317人(22年同期:6万4623人)、フランスが6万337人(22年同期:5万3706人)とどちらも昨年を上回るペースを記録。2023年通したインバウンド数は22万5000人を見込んでおり、2019年の23万6642人に迫る勢いだ。対して1~9月の日本からのインバウンド数は389人(22年同期:143人)。昨年は上回っているものの、コロナ前は米国、フランスに次いで3番目のマーケットとなっていた日本だが、同期間のインバウンド数では14番目となっている。

 その他直行便運休の背景として、TNに対してはコロナ禍のフランス政府からの財政支援がなかった点も強調しており、「(経営は)慎重にならざるを得ない」(コロンバニ氏)状況だが、運航再開を予定する来年の10月26日以降については「日本市場のアウトバウンドも活発になっているだろう」と期待する。

 また、日本市場に対しては早めの旅行計画を促した。主要マーケットの欧米からは約3か月前から予約が入るのに対し、日本からの予約のほとんどが44日前と直近の予約が目立つ。現地では複数のホテルが改装などを行っており、提供可能客室数の減少が予想されるなか、モスラン氏は「余裕を持ったホテル確保のためにも、早めのブッキングを」と注意喚起を行った。

スローツーリズムの推進
観光客数は「人口1人あたり1人」に

モスラン氏

 タヒチ観光局では現在2027年までの中期計画としてスローツーリズムの推進を行っている。年間の観光客目標を人口1人あたり1人とする一方で、滞在の長期化を促し現地の人々や文化などにふれる「量より質」の観光推進を図る。タヒチの人口は約28万人で、「ハワイやフィジーなど他のリゾート地が多くの観光客を迎え入れているが、我々は現在の観光客数を維持したい。スローツーリズムの先駆者として、環境、人々、文化の保護は不可欠」(モスラン氏)と話す。

 スローツーリズムの推進に伴い実際に行っている対策として、クルーズ各社へのバイオ燃料の使用のお願いや、タヒチに寄港するクルーズ船については、1日あたりの観光客数を1200人を上限としており、事実現在寄港するクルーズ船の90%が500人以下になっているという。

 タヒチ観光局によると、日本人観光客の平均滞在日数は7日間。その他の地域は平均16日間と9日間も短い一方で、18年1人あたりの消費額は日本人観光客が2425ドル、その他地域が2650万ドルと滞在日数が短いにも関わらず消費額が多いことがわかった。モスラン氏は「滞在の長期化をコントロールすることは難しい」と話すが、日本市場に対しては今後もプロモーションを続ける予定で、「日本の多くの皆様に是非タヒチの島々を訪れていただきたい」とメッセージを残した。