「だけじゃない」英国の魅力、グルメや新オープンの蒸留所など視察レポート

  • 2023年2月20日

 英国政府観光庁(VB)は世界各国の旅行会社/メディア関係者を招待して現地商談会と視察旅行の機会を提供する「Showcase Britain」を開催し、日本からも8名が参加。視察旅行ではスコットランドと湖水地方を訪問した。王道の観光素材はもちろん、実はしっかり美味しい英国グルメや新たな観光施設など「新旧」の魅力を実感した約5日間をレポートする。

創業200年超、老舗ニットメーカーのあたたかみ

 今回の旅程ではスコットランドで3日間、湖水地方で2日間滞在。そのうちスコットランドではハイランド地方で1日半、残りの時間でエジンバラとグラスゴーを訪れた。そこでまずはスコットランドの王道、歴史や文化を感じる視察先をまとめてみたい。

 ハイランド地方最大の都市インバネスから東北東へ60km、エルガンで見学したのはカシミヤやウールでニットやストールを生産する1797年創業の「ジョンストンズ・オブ・エルガン」。工場見学が予想以上の見応えで、OEM生産する超有名ブランドの未来の新製品なども垣間見えて楽しい。工場もショップも地域に根ざした実直であたたかな雰囲気で、それがプロダクトの優しいデザインにも繋がっている印象だった。

ジョンストンズ・オブ・エルガンではショップとカフェも充実。特にショップの品々は視察参加者が真剣な眼差しで掘り出し物を探していたのも納得の可愛らしさ

日本人オーナーによるウイスキーの聖地

ハイランダーイン外観

 続いてはスコットランドといえばのスコッチウイスキー関連で、世界中のウイスキーファンが憧れる聖地を訪問した。エルガンから南に約20kmの「ハイランダーイン」で、スコッチウイスキーの名産地であるスペイ川流域(スペイサイド)に建つホテルでありバーであり、ウイスキーの豊富な品揃えなどから高い名声を誇り2015年からは日本人の皆川達也さんがオーナーとなっている。

ハイランダーインの名前の入ったボトルも多数。マニア垂涎の品々だ

 伝説、聖地と言われていても実際には気さくでフレンドリーな空気で満ちていて、皆川さんも多忙な中でもハイランダーインにいる間は自らビールやウイスキーを注ぎ、おだやかな笑顔で客との会話にも応じてくれる。ハイランダーインのオリジナルボトルも購入することが可能だ。

エジンバラとグラスゴーで感じる歴史と文化

エジンバラ旧市街。新市街も含めて歩きやすいサイズ感と可愛らしい街並みが印象的

 今回の視察で、個人的に最も心奪われたひとつがエジンバラでの街歩き。エジンバラでは、エリザベス女王も毎年滞在したホリールード宮殿を訪れ絢爛華麗な内装や重厚な威容に圧倒されたが、世界遺産でもある旧市街に足を踏み入れた瞬間に感じた高揚感は忘れがたい。

エジンバラはハリーポッターの原風景とも言われファン向けの店も多い

 エジンバラはTimeOutが昨年発表した「世界最高の都市」ランキングで1位を獲り、自分の街を美しいと思う市民の割合が95%、歩きやすいと思う市民も93%といずれも全候補都市で最多となっているが、それも当然と思える場所だった。

ケルビングローブ・アート・ギャラリー。重工業で栄えて無数の億万長者がいたというグラスゴーの往時の繁栄ぶりがうかがえる

 一方、グラスゴーでは荘厳な「グラスゴー大聖堂」と100年以上の歴史を持つ「ケルビングローブ・アート・ギャラリー」を訪問。いずれももっと時間があればと思った場所で、特に後者は8000点もの展示を無料で閲覧でき「文化を大切にする文化」というか「社会の厚み」を感じた。

グラスゴーの「マッキントッシュ・アット・ザ・ウィロー」では、アールヌーボー時代のデザイナー/建築家であるチャールズ・マッキントッシュの世界を実際にお茶をしながら体感することができる
ハイランドでは4WD車両で山林や川を走りハイランド地方ならではの環境などについて学べる「ハイランド・サファリ」も体験。雨が多い一方で天気が変わりやすいため何度も虹を見たのも今回の思い出のひとつ