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【スイス現地レポート】クリスマスシーズン真っ盛り!ゴールデンパス・エクスプレスが運行開始、プレステージ・クラスも登場

  • 2022年12月15日

スイスのサステイナブル 食を通しての取り組み

サステイナブルな取り組みを積極的に行っているホテルやレストランなどの施設や公共機関に付与しているスイス政府観光局のロゴ

 環境に配慮した「サステイナブル(持続可能)」な取り組みは、ヨーロッパではもはや特別なことではなく日常生活の中に当たり前のように組み込まれています。大自然に囲まれ、その恩恵を受けながら生活しているスイスの人たちにとっても、非常に大事なこととして多くの人が日々実践しています。特に温暖化に対する意識は非常に高く、可能であれば飛行機でなく鉄道で、市内の移動は自家用車ではなく公共交通機関や自転車でと、自分たちのための利便性より二酸化炭素などの排出量を懸念して移動手段を選択するのは、もはや当たり前のことになっています。

 その意識は食生活にも表れていています。肉食を減らすことは畜産業界の二酸化炭素やメタンガスの排出、放牧による森林破壊などを抑制することにつながると考えられ、ベジタリアン(菜食主義)になる人も多くいます。スイスのベジタリアン人口は、現在全体の5%ほどですが、完全なベジタリアンではないものの、日常の中でなるべく肉を食す頻度を減らそうとしている人はより多くいる印象です。スイス国民が全員1週間に1日だけ菜食にするだけで、自動車が地球を9万周(37億km)走った時に放出される排出量が節約できるとのこと。それを聞くと、「ちょっとでもやってみようかな?」という気になってきますよね。最近は、スーパーでも大豆やひよこ豆を原料とした植物性加工肉コーナーも当たり前の光景になってきて、今年の10月1日には、それら製品のさらなる認知向上と「食を通じてのサステイナブル」意識の促進を目的とした「スイス・ベジ・デー」という初のプロモーションも国全体で行われました。

スーパーの植物性加工肉のコーナー

 スイスでは、どのレストランでも必ずと言って良いほどベジタリアンメニューがあります。ベジタリアンメニューに特化したレストランもあり、日本からスイスに旅行で訪れた際に、一度試してみるのも良いでしょう。スイスインターナショナルエアラインズの機内食としても提供されている、チューリヒの老舗ベジタリアンレストランといえば「ヒルトゥル(Hiltl)」。このレストランは基本ブッフェスタイルで、量り売りをしています。好みのものを少量ずつ食べられるのも嬉しいところ。レストランに行って、一人前を注文するのは少し多いな・・と思う時にも非常に重宝するレストランです。もう1つは、「ノイエ・タベルナ(Neue Taverne)」。一皿ずつ美しく盛り付けされ、特別な日のお出かけにも利用したくなるようなレストラン。注文したものをグループで取り分けて食べるスタイルなので、何品か頼んで色々味わうことができます。提供される野菜の選択や利用しているスパイスの1つ1つにこだわりが感じられ、野菜類だけでもこんなに満足がいく食事が可能だと感じさせてくれるレストランです。どちらもチューリヒの中心にあるレストランなので、旅の最後に身体に優しいものが食べたいなと感じる際に利用してみてはいかがでしょうか。

ノイエ・タベルナの美しいベジタリアン料理 

 今回は、食をトピックにスイスのサステイナブル事情をご紹介しましたが、雄大な自然を誇るスイスということもあり、自然そのものや、交通、そして滞在先など旅のあらゆる側面でサステイナブルな取り組みを見ることができます。それらは決して環境のために何かを我慢するということではなく、むしろ自然や環境に対しての大切さや敬意をはらうことにつながり、より思い出深い旅になる手助けになることでしょう。


取材協力:スイス政府観光局