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【労務のいろは】副業と兼業の実務-リスク排除のために

【2】管理について

 他社で雇用されている労働者を受け入れる場合、次の2つの契約があります。契約内容により管理が異なります。

①雇用契約(労働基準法の適用あり)
②業務委託契約(労働基準法の適用なし)

①の場合、企業の対応としては次のような対応に追われます。

 労働時間管理
 健康管理
 秘密保持

②の場合、企業の対応としては次のように追われます。

 健康管理
 秘密保持

(1)労働時間管理の実施
 自社の所定労働時間と副業・兼業先の所定労働時間を通算して、時間外労働となる部分があるかを確認します。ただ、法定労働時間(1日8時間)を超える時間があればその部分が時間外労働となりますが、時間的に後から労働契約を結んだ会社がその時間外労働を行わせていることとなります。

出典:副業・兼業の促進に関する ガイドライン わかりやすい解説|厚生労働省(mhlw.go.jp)

※契約の前後により先に労働していても法定時間外労働が生じるため、後から労働契約を結ぶ場合には、労働時間の調整について慎重に行う必要があります。

 また、例えば自社で所定外労働時間があり、副業・兼業先でも所定外労働時間が行われる場合もあります。この場合には、所定外労働が行われた順に計算します。よって上記の会社で定める所定時間内における労働にかかる時間外労働の通算とは若干異なってきます。

出典:副業・兼業の促進に関する ガイドライン わかりやすい解説|厚生労働省(mhlw.go.jp)

 つまり以下のように整理しておけばよいでしょう。

 所定時間内における時間外労働 → 労働契約順に算出
 所定時間外における時間外労働 → 行われる順に算出

 自社で所定外労働がなければ、通算は不要ですが、自社で所定外労働があり、副業・兼業先で時間外労働がない場合には、自社の所定外労働時間を通算する必要があります。また自社での勤務前に、副業・兼業先での勤務がある場合、所定外労働時間にかかる時間管理についてはかなり慎重に対応しなければ、気付かないうちに、残業代の未払いとなっている可能性が生じます。ただし、労働時間の通算においては、他社での労働時間は労働者からの申告等により把握することで足りる(ガイドラインより)ため、本人から申告が事実と異なっていた場合であっても、客観的事実を把握していないと考えられるため、責任を問われることはないと思われます。

《副業・兼業の内容の確認》

出典:副業・兼業の促進に関する ガイドライン わかりやすい解説|厚生労働省(mhlw.go.jp)

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