新体制で「変革と創造」、「安心・安全」の取組を再強化-年頭所感(2)

ジャルパック代表取締役社長 江利川宗光氏

 平成最後で新元号スタートの今年はどんな年となるか。米中貿易戦争や英国のEU離脱、世界に広がる自国第一主義。先行き不透明な世界情勢の中で、日本は政治、経済、外交、社会等多くの課題を抱えながら、改元、G20、ラグビーW杯、消費税増税といった待った無しのイベントを着実にこなしていく必要がある。

 旅行業界もここ数年来の「パラダイムの転換」とも言うべき荒波の中にあるが、この流れは今年も更に加速すると覚悟している。この「転換の年」19年を、ジャルパックとしても、自分自身としても「ジャンプスタート(バッテリー上がりの車のエンジンをかける。活をいれるの意)の一年」にしたい。

 今年はジャルパックブランド誕生55周年の記念の年だが、これまで作り上げてきた我々の提供価値である「安全・安心、品質、お客様の感動」を大切にしつつ、伝統に安住することなく、変革と創造を進めていく。

 私個人としても、昨年6月の社長就任以降、初の旅行業にやや慎重に向き合ってきたが、今年はより自律的、能動・積極的に「海外事業の立て直しと業績回復」「訪日インバウンド事業の成功モデル化」「地方創生への貢献」「人財と職場の活性化」などの課題にリーダーシップを発揮したい。その大前提には社員との「信頼の絆」が必須であり、社員・経営陣・会社の一体となった成長をめざす。

ANAセールス代表取締役社長 宮川純一郎氏

 昨年は大規模な自然災害に多く見舞われたが、ANAセールスでは22年までの5ヶ年の中期経営計画を実行する初年度として、「新たな価値創造」による成長戦略と「事業運営体制の見直し」による構造改革に取り組んだ。

 具体的には旅行販売システムを刷新し、ドローン、AIなど最新テクノロジーと旅を融合させた新たなサービスを展開。宮城県とANAホールディングスとの間で締結した包括連携協定に基づき、ツーウェイツーリズム実現に向けた第一歩として、松島で「ふれあいウォーク」を開催した。さらに地域創生への貢献のため、4月に支社支店の役割と体制を見直し、10月には国内旅行事業の運営体制を再編して着地視点で各地域に密着した商品の造成・販売を実施できる体制にした。

 今年はいよいよ、5月24日よりA380型機がハワイへ就航する。就航を記念した新たな商品やサービスを展開し、ANAならではの新しいハワイの楽しみ方を提案していく。

 また、昨年11月、国内・海外旅行商品や各種サービスなどを総称したANAの旅のブランド「ANA Traveler's」を立ち上げた。新ブランドのもと、ANAグループとして培ってきた「安心と信頼の品質」に更に磨きをかけ、新しい価値ある旅づくりに挑戦するとともに、これまで以上にお客様一人ひとりに寄り添い、お客様と共に感動の旅を紡いでいく。

東武トップツアーズ代表取締役社長 坂巻伸昭氏

  昨年は自然災害に多く見舞われ、旅行業界も大きな影響を受けた。災害は事前に防げないが、災害が発生した時の対応や被害を最小限に止める準備はできる。お客様が楽しく、災害や事故のリスクを気にせず旅行を楽しめるよう、我々がお客様の安心安全を担保する必要があることをあらためて認識した1年だった。さまざまなリスクや状況変化を予測して対応を考えることが、新しい年を迎えても必要だ。

 今年は日本にとって「MICE」案件が非常に多い年で、ラグビーW杯などのイベントだけでなく、20年の東京五輪に関する視察案件など、旅行業界にとってもパートナーの皆さんにとっても、「人が集う」ビジネスを利用するチャンスだ。MICEで訪れるお客様をイベントにお連れするだけでなく、MICE前後に何を提案できるか、各地域で何を売りにできるのか、地域の皆さんと考えていきたい。

 その際、決して何か新しいものを創らなければならないということではない。既存の自然、伝統文化、食事などのテーマを再度見つめ直してみると、地元では当たり前だが、日本の観光客や外国人旅行者には新鮮で、魅力的なものであることが多い。

 また、OTAの台頭や民泊の増加、異業種からの旅行業への参入など、旅行業界を取り巻く環境も更に変化し、お客様の選択肢が増えている。そのなかで選ばれ、リアルエージェントとしての地位を確立するために必要なことは「こだわる」ことだと思う。地域も含め自然、文化、食事、スポーツなど、テーマは沢山ある。それらに深く関わり、こだわりを持った商品や提案をしていきたい。

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