山手線は、東京の中心を周回する大都市の縮図のような路線です。通勤や通学で多くの人が利用し、定番スポットや穴場スポットも数多く存在します。筆者は山手線を何度も一周した経験がありますが、乗車や徒歩など、その方法はさまざまです。
そこで本記事では、山手線一周の経験者である筆者が、おすすめの楽しみ方やお得なチケット活用法、見逃せないスポットについて案内します。効率的に山手線沿線を満喫したい方は、ぜひ参考にしてください。
山手線一周の距離や楽しみ方
山手線は、東京の中心を約34kmの距離で一周する路線です。乗車時間は約1時間であり、30の駅が存在します。筆者が徒歩で一周した際には、途中の休憩も含めて14時間ほどかかりました。大変な側面もあるものの、山手線一周は魅力も満載です。
電車だけで回るのも良いですが、各駅を徒歩で散策するのもおすすめです。散歩がてら、街の雰囲気や駅ごとのカラーを感じられるでしょう。山手線を一周すれば、東京の多様な表情を体験でき、達成感も味わえるはずです。
山手線一周をお得に満喫する方法
ここでは、山手線一周をお得に満喫する方法として、電車・徒歩・レンタサイクルという3つの側面から解説します。それぞれ異なる特徴や魅力が存在するため、状況に応じてベストな方法を選ぶと良いでしょう。
乗り放題の乗車券(3種類)を活用する
山手線一周を、電車に乗りながら効率的に楽しみたい人には、乗り放題の切符の活用がおすすめです。該当するフリー切符は、「東京フリーきっぷ」「都区内パス」「休日お出かけパス」の3種類で、すべて1日券になります。
「東京フリーきっぷ」は、東京23区内のJR線・地下鉄・バスが1日乗り放題になる切符。「都区内パス」は、山手線全駅を含む指定区間のJR線が1日乗り放題になります。「休日お出かけパス」は、休日の1日において、指定のJR線・地下鉄・モノレールが乗り放題に。乗り放題切符を利用する場合、山手線すべての駅にて、都度降りて楽しむことも可能です。
駅によって徒歩移動も組み合わせる
ずっと電車に乗り続けるのは人によっては良いものの、景色や街の雰囲気を十分に感じ取れない可能性もあります。また山手線は、駅間の距離が基本的に歩ける範囲となっています。そのため、電車とうまく組み合わせて、部分的に徒歩移動するのもおすすめです。
乗り放題の切符を使えば、電車に乗っても徒歩でも料金は変わりません。たとえば「日暮里駅と西日暮里駅」「上野駅と御徒町駅」のように、駅間の距離が特に近い箇所を歩くのも良いでしょう。気になる駅で一度降りて、次の駅まで歩くのもおすすめですよ。
電車と徒歩を効果的に組み合わせることで、山手線沿線の魅力を存分に感じられるでしょう。
徒歩やレンタサイクルで一周する
徒歩での山手線一周は、地域の魅力を肌で感じられるメリットがあります。たとえば、駅前の商店街を歩くことで、地域ならではの個性的な店舗や文化に出会えるでしょう。細い路地を抜け住宅街を散策すれば、地域住民の生活を垣間見られる可能性があります。
しかし、山手線一周は約34kmであり、すべてを徒歩で一周するのは大変かもしれません。徒歩での移動をメインにしつつ、疲れた際はレンタサイクルを利用するのも一案です。場合によっては、一周すべてを自転車で行うのもおすすめ。駅周辺にはレンタサイクルのポートも多数あるため、必要に応じて、柔軟に移動を切り替えられるでしょう。
山手線沿線|6つの定番スポット
山手線の各駅周辺には、数多くの定番スポットが存在します。ここでは、特におすすめの6ヶ
所をピックアップしてご紹介。山手線一周をする際に、ぜひお役立てください。
【上野駅】上野公園|歴史と自然の融合地
広大な駅構造であり、新幹線も乗り入れている上野駅。隣接する有名スポットのひとつが、上野公園です。公園の入口は、上野駅から徒歩2分程度の距離にあり、山手線の車内からも目にできます。公園内には、動物園・博物館・美術館・神社など、多彩な文化施設が存在します。特に上野動物園は、老若男女問わず楽しめる場所であり、パンダをはじめ、多くの動物を間近で観察できる人気スポットです。
また上野公園の桜並木は、春になると見事な桜を咲かせ、通る人々の目を楽しませてくれます。美しい自然と文化に触れられる「上野公園」は、情緒を堪能できる場所のひとつです。
上野動物園
【住所】東京都台東区上野公園9-83
【電話番号】03-3828-5171
【アクセス】JR「上野駅」公園口から徒歩5分
【営業時間】9:30~17:00(入園は16:00まで)
【入園料】大人600円、小学6年生まで無料
【公式Webサイト】https://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/
【新宿駅】新宿御苑、都庁|緑と高層ビルの織り成す景色
山手線の重要な乗換駅でもある新宿駅は、自然と都会が融合した景色を発見できる場所でもあります。新宿駅の南口には緑豊かな「新宿御苑」、西口の高層群には「東京都庁」が位置しており、駅の出口によって異なる景色が広がることも特徴です。
新宿御苑は、四季折々の植物の美しさを堪能できる庭園であり、春には桜・秋には紅葉が訪れる人々を魅了します。対する東京都庁舎の展望台からは、新宿の高層ビル群や東京都内の住宅などが一望できます。晴れた日には、東京湾や富士山も目にできることでしょう。緑と高層ビルの調和した様子は、新宿ならではの魅力的な景観です。
新宿御苑
【住所】東京都新宿区内藤町11番地
【電話番号】03-3341-1641
【アクセス】JR「新宿駅」南口から徒歩10分
【営業時間】4月から9月:5:00~19:00、10月から3月:6:00~17:00
【入園料】一般500円
【公式Webサイト】https://fng.or.jp/shinjuku/
東京都庁
【住所】東京都新宿区西新宿2-8-1
【電話番号】
都庁:03-5321-1111
展望台専用: 03-5320-7890
【アクセス】JR「新宿駅」西口から徒歩5分
【営業時間】展望台:9:30~22:00(最終入場21:30)
【入場料】無料
【公式Webサイト】
都庁:https://www.metro.tokyo.lg.jp/
展望台:https://www.yokoso.metro.tokyo.lg.jp/tenbou/
【SNSアカウント】
https://x.com/tocho_tenbou
【渋谷駅】ハチ公前広場|待ち合わせスポットの定番
渋谷駅は、東京を代表する商業・文化の中心地として知られる場所です。駅の南東に位置するハチ公前広場は、待ち合わせの定番スポットとなっています。ハチ公前広場にあるハチ公像は、忠犬ハチ公をかたどった銅像であり、亡き飼い主をずっと待っていた話は有名。広場には、ベンチや休憩スペースが設けられており、待ち合わせの合間に一息つくこともできますよ。
ハチ公前広場ではストリートパフォーマンスが開催されることもあり、常に多くの人で賑わっています。ハチ公前広場で、スクランブル交差点や賑わう街の雰囲気を楽しむのも、渋谷ならではの魅力と言えるでしょう。
ハチ公前広場
【住所】東京都渋谷区道玄坂2丁目
【アクセス】JR「渋谷駅」ハチ公口すぐ
【池袋駅】池袋 サンシャインシティ|池袋の象徴的な存在
池袋駅は、山手線が通るターミナル駅であるほか、東京メトロ副都心線・丸ノ内線などの主要な乗換駅でもあります。池袋という交通の要所に位置するのが、大規模な複合商業施設「池袋 サンシャインシティ」です。サンシャインシティは、1978年の開業以来、40年以上にわたり池袋の顔として親しまれ、地域になくてはならない存在となっています。
サンシャインシティには、商業施設「アルパ」をはじめ、「サンシャイン水族館」「サンシャイン60展望台」など、買い物・エンターテインメント・グルメまで、多彩な施設が集結しています。家族連れから若者まで、幅広い層が楽しめることでしょう。
池袋 サンシャインシティ
【住所】東京都豊島区東池袋3丁目1-1
【電話番号】03-3989-3321(代表)
【アクセス】 池袋駅の35番出口より徒歩8分
【営業時間】
アルパ(専門店)10:00~20:00
展望台(サンシャイン60)11:00~21:00(最終受付は20時まで)
水族館 9:30~21:00(春夏)/10:00~18:00(秋冬)
【公式Webサイト】https://sunshinecity.jp/
【秋葉原駅】秋葉原電気街|テクノロジーとサブカルチャーの複合
秋葉原駅は、総武線・つくばエクスプレス・日比谷線も乗り入れており、東京都内だけでなく、「千葉県」「埼玉県」「茨城県」からもアクセスしやすい駅です。山手線も通る重要な交通拠点に広がるのが、世界的にも有名な「電気街」と呼ばれる地域。家電量販店やパソコンショップ、アニメグッズの店舗など、テクノロジーとサブカルチャーの融合した街並みが広がります。
パソコンマニア・楽器好き・電子部品オタクなど、多様なジャンルのオタクが集まる場所であり、オタクではなくとも、楽しさと刺激を感じられます。各店舗をのぞくと、ほかでは目にしないような珍しい商品を発見することもあるでしょう。
【東京駅】赤レンガ駅舎|歴史と現代が調和する玄関口
東京駅には、新幹線や各種在来線が乗り入れ、国内外からの多くの旅行者が受け入れられています。平日の朝夕は、ビジネスパーソンの姿も頻繁に目にします。東京駅は、明治時代に建設された日本有数の歴史的な駅舎です。1914年に建設された赤レンガ駅舎は、重要文化財に指定されており、ヨーロッパ風の外観が特徴的です。
駅構内には、ビジネスパーソンや旅行客も利用する商業施設「グランスタ東京」が併設されています。東京駅はショッピングや飲食を楽しめる一方で、歴史的な趣の残る赤レンガ駅舎もあり、古き歴史と都市機能が融合した魅力あふれる場所と言えるでしょう。
グランスタ東京
【住所】東京都千代田区丸の内1-9-1
【アクセス】JR東京駅 改札内
【営業時間】
お弁当・お惣菜・スイーツ: (平日・土) 8:00~22:00(日・祝日) 8:00~21:00
レストラン: (平日・土)10:00~22:00、(日・祝日)10:00~21:00
雑貨・コスメ・サービス: 全日 10:00~21:00
【公式Webサイト】https://www.gransta.jp/mall/gransta_tokyo/
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/gransta_jp/
https://x.com/gransta_jp
山手線沿線|3つの穴場スポット
山手線の各駅には、定番スポットとは異なる印象の「穴場スポット」も存在します。ここでは、3つの穴場スポットについてご紹介。山手線一周をする場合には、穴場スポットもぜひチェックしてみてください。
【日暮里駅】谷中銀座商店街|昭和を感じる「谷根千エリア」
日暮里駅は、東京の下町情緒を色濃く残す駅です。駅から徒歩5分程度の場所にある谷中銀座商店街は、昭和レトロな雰囲気が漂う人気の散策スポットとなっています。約200メートルの商店街には、骨董品店やアンティーク雑貨店、趣のある飲食店などが軒を連ねており、独特の味わいを醸し出します。季節ごとにさまざまなイベントが開催され、地域に根付いた活気あふれる街並みを楽しめるでしょう。
また、谷中銀座商店街を含む「谷根千エリア」は、猫の町としても有名です。地域で可愛がられている猫も多数生息しており、猫好きにとっては、猫と触れ合いながら下町散歩ができるたまらない場所だと言えるでしょう。
【目白駅】目白庭園|閑静な住宅街の中にあるオアシス
目白駅は、閑静な高級住宅街に位置し、落ち着いた雰囲気が漂う駅です。大学のキャンパスも近くにあり、学生の姿も頻繁に目にします。
目白駅から徒歩圏内にある目白庭園は、明治から昭和にかけての歴史的建造物が残る場所として知られます。広大な敷地内には、日本庭園や茶室などがあり、四季折々の美しい景色を楽しめるでしょう。
庭園内では文化的なイベントや展示会なども開催されており、芸術に触れる機会も豊富です。近代建築と自然が見事に調和した目白庭園は、東京の中心部にありながら、時間が止まったかのような趣のある空間を提供しています。
目白庭園
【住所】東京都豊島区目白3-20-18
【電話番号】03-5996-4810
【アクセス】JR目白駅から徒歩5分
【営業時間】9:00~17:00(7月・8月は9:00~19:00)
【休園日】毎月第2・4月曜日、年末年始(12/29〜1/3)
【入園料】無料(※茶室「赤鳥庵」の利用は有料)
【公式Webサイト】https://mejiro-garden.com/
【田町駅】芝浦運河沿い|自然に恵まれた憩いの場所
田町駅は、ビジネス街として発展した田町エリアの中心的な駅です。駅周辺には、再開発によって近代的なオフィスビルが立ち並び、ビジネス街の印象を持つ人もいるでしょう。一方で、駅から徒歩圏内には「芝浦運河沿いの緑豊かな遊歩道」が整備されています。運河沿いは、自然に恵まれた憩いの場所となっており、散歩やランニングを楽しむ人々で賑わいます。
晴れた日の夕暮れには、運河に沈む夕日と街の灯りが織り成す美しい夜景を堪能できるでしょう。日中のビジネス街の喧騒とは対照的に、芝浦運河沿いは都会のオアシス的存在として、人々に安らぎを提供します。
山手線一周をする際の注意点
山手線一周は、東京の魅力を堪能できる人気のプランです。しかし、より充実したアクティビティにするには、いくつか注意すべき点があります。ここでは、山手線一周を楽しむためのポイントを紹介します。
混雑時間を把握する
山手線の「朝夕のラッシュ時間帯」は、場所によっては混雑が激しいことで知られています。そのため、通勤・通学客で車内が混む時間は避けるのが賢明です。電車移動の場合は、平日の昼間がおすすめ。比較的空いていることが多く、ゆったりと車窓を楽しめます。
徒歩や自転車での一周に挑戦する人は、混雑を気にせず、自分のペースで回れることが魅力です。筆者は、大学生のころに友人と金曜の夜から土曜の午前にかけて、徒歩で一周しました。ただし、繁華街に隣接した駅や、駅周辺の小道を通る場合には注意が必要です。女性が夜間に単独で一周することは安全面での不安があるため、避けたほうが賢明でしょう。
1日で終わらせなくても良い
山手線はすべて合わせると30駅あり、総延長約34キロメートルに及ぶ路線です。一周するには相当な距離があるため、1日で回るのは体力的に厳しい人も多いでしょう。無理をせず、2日から3日といった数日に分けて一周するのもおすすめです。
たとえば、1日目に電車の一日乗車券を利用して山手線の半周をめぐり、残りの半周を別日に徒歩や自転車で回るのも良いでしょう。電車での移動と、徒歩や自転車での探索を組み合わせることで、効率的かつ多様な視点から山手線沿線の魅力を体験できます。数日かけて達成すれば、それぞれの駅での滞在時間を十分に取れるため、周辺の観光スポットをじっくり堪能できるでしょう。
地形的に起伏がある
山手線沿線は、平地だけでなく坂道や階段など、地形的に起伏がある場所も見受けられます。徒歩や自転車で一周する際は、アップダウンによる体力の消耗を考慮する必要があります。たとえば五反田駅と目黒駅など、高低差のある駅間の移動は、脚に負担がかかる可能性もあるためペース配分が大切です。
余裕のあるスケジュールを組み、休憩を適度に取り入れながら楽しく散策しましょう。また、歩きやすい靴の選択も重要です。長時間の歩行に耐えられる、疲れにくい靴を履いて出かけることをおすすめします。徒歩や自転車で山手線を一周するイメージを膨らませながら、準備を整えると良いでしょう。
山手線一周の魅力を満喫しよう
山手線一周は、東京の多彩な魅力を堪能できる素晴らしい機会です。電車・徒歩・レンタサイクルなど、自分に合った方法を選ぶことが大切です。定番スポットから穴場スポットまで、さまざまな表情の駅をめぐることで、東京の奥深さを実感できるでしょう。
一方で、混雑時間帯や地形的な起伏などいくつか注意すべき点もあるため、配慮しながら一周するのがおすすめ。思い思いのスタイルで山手線沿線を探索し、東京の魅力を存分に味わってみてはいかがでしょうか。