【新規開業】京都・祇園、国の登録有形文化財がその歴史の記憶を継承して誕生「帝国ホテル 京都」
2026年3月5日、京都・祇園に55室のスモールラグジュアリーホテル「帝国ホテル 京都」が開業した。帝国ホテルとして30年ぶり国内4軒目の新規ホテルで、初の畳を設えた客室を含む。国の登録有形文化財である弥栄会館(1936年竣工)の南西側の壁、柱や窓枠などの一部を保存・活用することで景観整備条例の特例許可条件を得て、地域に愛された建物の記憶を引き継ぐホテルへと再生したもの。
ホテルの内装デザインは新素材研究所の代表取締役所長 榊田倫之氏が手がけ、ベッドのヘッドボードに使用した木材の目合わせにもこだわり、品格を感じる仕上がり。同社の共同設立者である現代美術作家の杉本博司氏の作品も数多く館内を飾る。二十四節気を感じるフランス料理 練、オールデイダイニング 弥栄、オールドインペリアルバー、そして宿泊者限定のザ ルーフトップを有する。京都に帝国ホテルらしい寛ぎ の滞在をもたらしてくれそうだ。
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元あった「弥栄会館」は、鉄骨鉄筋の劇場建築。その銅板瓦葺き屋根や正面中央の塔屋状の付庇や宝形造屋根などが天守を思わせる外観の和風意匠を継承している。
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元の外壁タイルは損傷を与えないように取り外して再利用する”生け捕り”を実施(写真左:提供大林組)し、最終的に全体の10%程度、約1万6000枚を確保した。生け捕りしたタイルは南面や西面一部に使用(写真右:提供帝国ホテル)
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エントランスの車寄せ天井は、弥栄会館時代にホールの緞帳上部の壁に使われていた麻の葉の文様をアレンジしたデザイン。
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風除室の天井に使われている梅の枝の文様が美しいエッチンググラスは、弥栄会館時代のオリジナルのガラスを使用している。
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宿泊者ラウンジの床・柱は鹿児島県沖永良部島産「田皆石」で弥栄会館時代の沖縄文化への関心や受容を反映。柱には帝国ホテルの二代目本館(以下ライト館)を思わせるテラコッタの鋳物があしらわれている。宿泊客にはドリンクのサービスや焼き菓子、夜はワインなども出る。(宿泊者ラウンジ部分の写真:提供帝国ホテル)
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宿泊者ラウンジでチェックイン・アウトも。ゲストを迎える見事な松竹図襖絵は杉本博司氏の作品。写真:提供帝国ホテル。
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北棟にあるグランドプレミア (58〜71㎡、1室2名208,800円〜)国産の木がふんだんに使われている。ベッドサイドの床は栗の木のなぐり加工が美しい。アメニティは英国のフレグランスハウス「ペンハリガン」を採用。(写真:提供帝国ホテル)*以下、室料は税サ込、宿泊税、時期により変動あり。
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本棟保存エリアにある1室のみの弥栄スイートのリビング(103㎡+バルコニー13㎡、622,400円〜)カーペットは山形緞通。(写真:提供帝国ホテル)
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本棟保存エリアにあるヘリテージジュニアスイート(79〜100㎡、1室2名255,600円〜)
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本棟にあるグランドプレミアバルコニー付(57〜65㎡、バルコニー付は1室、1室2名316,300円〜)ヘッドボードは霧島杉、カーペットは川島織物セルコン。(写真:提供帝国ホテル)
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同グランドプレミアバルコニー付のベッドルーム。美しい木目のヘッドボードは霧島杉。
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本棟にある1室のみのインペリアルスイート(128㎡+テラス65㎡、ガゼボ付、3,000,000円):京都の街並みが美しく見えるテラス、天空のあずまやをイメージしたガゼボも。(photo Masatomo Moriyama)
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外壁のレリーフのテラコッタは、弥栄会館の外観を飾っていたものをほとんど再利用(写真)。常滑市の伊奈製陶が製造したものだが、ライト館のレンガやテラコッタも同じ常滑市の伊奈製陶で製造されていたという縁があるという。(写真:提供帝国ホテル)
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宿泊者のみが利用できるザ ルーフトップ。カウンターの向こうに京都の街と山並みが広がる。(photo Masatomo Moriyama)
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一階のザ ペストリーショップのスイーツ。左下の華やかなケーキは、都をどりに使われる団扇を模した季節限定のケーキ「フロール」。右上のミニブルーベリーパイは帝国ホテル 京都の限定商品。
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オールドインペリアルバーは、ライト館に使われていた大谷石が帝国ホテルの伝統を受け継ぐ空間。外来利用もできる。(photo Masatomo Moriyama)
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帝国ホテルのフランス料理レストランとしてとして初めてカウンタースタイルを導入したフランス料理「練」。二十四節気の移ろいが感じられるコースを提供。壁は、東山からの風のゆらぎを表現した左官職人の久住誠氏の作品。(photo Masatomo Moriyama)
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オールデイダイニング「弥栄」の入り口には、弥栄会館にあった芭蕉の葉のエッチングのレリーフが飾られている。(photo Masatomo Moriyama)
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オープンキッチンから活気が伝わるオールデイダイニング「弥栄」。薪窯で焼き上げた肉と野菜を加えた「弥栄カレー」やパティを薪窯で焼き上げた「弥栄バーガー」などが帝国ホテル 京都のシグニチャー。(写真:提供 帝国ホテル)
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帝国ホテル 京都の総支配人坂田玲子氏は「長年にわたり京都・祇園で育まれてきた文化と歴史。文化交流の拠点である弥栄会館というかけがえのない場所で、帝国ホテルが新たな歴史を刻みます。この地が紡いできた物語を継承し、地域のみなさまと共に文化を発信する“集いの場”として歩み続けてまいります。訪れるすべてのお客さまに寄り添い、再び訪れたいと思っていただけるホテルを目指し、心をこめてお迎えします」と抱負を語った。(写真:提供帝国ホテル)

