itt TOKYO2024

「目指すのは地域ナンバーワンではない」近隣ホテルと一体で広島の活性化へ-リーガロイヤルホテル広島総支配人 室敏幸氏

  • 2022年6月8日

会員や地元市場への働きかけを積極化
異業種とのコラボプランにも次々挑戦

-イベント企画や宿泊プランにも積極的ですが、市場の反応はいかがですか。また企画のアイデア出しはどのように行っていますか。

 コロナ禍中の模索ということもあり爆発的に売れてはいませんが、客室稼働率を上げるため地元市場へは今後も積極的に働きかけます。私が着任した昨年から宿泊プラン造成会議を立ち上げ、週1回の会議でアイデア出しを行っています。私の他には総支配人室の販促チームと宿泊部門担当者らでメンバーを構成しています。

 じわじわと売れる企画も出てきました。たとえば音響機器メーカー「アンカー・ジャパン」とのコラボで実現した『おこもりシアター&ステイ』プランは、大型プロジェクターとヘッドホンによる映像体験として、家族で宿泊して映画や動画、スポーツ観戦を楽しみたい方々に好評です。また、このプランをご利用いただいたお客様のなかには、コロナ禍でコンサートに行けないため仲間同士で宿泊して、大画面でコンサート映像を観ながら応援したという方もいらっしゃったようです。同プランでは、今後は部屋の大画面で「2人で楽しむ花火大会」といった新しい展開も検討中です。

 その他、セガトイズとコラボして、キッズティピーテントなどお子様の好奇心をくすぐるグッズを組み込んだファミリー向けのプランも試みました。また隣接する商業施設に位置するゴールドジムと提携して、宿泊客は5時間まで施設を利用できるプランや、専門リハビリを提供する滞在型リハビリプランも提案。さらにひろしま美術館の「ひろしまナイトミュージアム」の鑑賞と宿泊を組み合わせたプランを販売するなど、とにかく試行錯誤を続けています。

-ウエディングプランにも積極的に取り組んでおられます。

 ブライダル需要もコロナ禍で大打撃を受け、未だにダメージが残ります。こういった状況で自社ホテルが新規獲得できれば良いという発想は通用しないと思います。ホテル間で協力し合いながら需要を盛り立てる取り組みが不可欠です。例えば、各ホテルが参画して共同のブライダルツアーを実施することで広島全体を盛り上げていきたいと考えています。

 ホテルの総支配人として「地域でナンバーワンのホテルになりたい」と考えるのは、ある意味当然かもしれませんが、私の考えは違います。むしろ近隣ホテルと共に高め合っていく関係が理想であり、そういう時代になってきたと感じています。少なくとも一人勝ちを目指すような時代では、もうありません。

-最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

 今後はリベンジ消費、それも高額消費が増えると言われます。当ホテルでもVIP専用で1泊30万円のロイヤルスイートルームを、5月から特別に一般向け販売を開始しました。リーガロイヤルホテル会員なら半額の15万円です。新しい価値を提供することで、高単価でもご利用いただいています。

 そして、Go Toキャンペーンが再開すれば、旅行需要は確実に盛り上がり、旅行総消費額も高くなることが予測されます。素早い復活ができるようモチベーションを保ちながら、共に取り組んでいきましょう。

-ありがとうございました。