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【デュッセルドルフ現地レポート】オミクロン拡大中の一時帰国、春を迎えたドイツの今

  • 2022年5月17日

 羽田空港到着後は、通常よりも数倍長く機内で待機してから降機し、かなりの距離を工程に沿って進んで行きます。まずは事前の健康状態を入力したアプリの画面の提示(用意できていない人はその場でアプリ内の質問に回答)、次いで唾液による抗体検査、機内で配られた誓約書や滞在先等の質問書の提出と審査が行われます。また、各自のスマートフォンで、健康居場所確認アプリ(MySOS)への待機場所の登録、接触確認アプリ(COCOA)のインストール、スマートフォンの位置情報記録が機能するかの最終チェックが行われます(スマートフォンを持っていない場合は入国後にレンタル)。この後は待機場所で検査の結果を待ちますが、ここまでで2時間はかかりました。

 掲示板に自分の番号が出たら窓口で検査結果を確認し、陰性であれば入国許可のカードがもらえます。その後別の待機場所に移動して人数がある程度揃うまで待ち、係員に連れられて入国審査、荷物の受け取りを済ませて入国。個人行動は許されません。余談ですが、一連の過程で一番印象に残ったのは、空港内で案内をするスタッフのほぼ全員が日本語の流暢な外国人(アジア人中心)で、そのスタッフの下で訓練を受けているのも外国人であることでした。本当に自分は日本に帰ってきたのか? と不思議な感覚に陥りました。

 隔離先のホテルは、移動のバスの中で初めて告げられます。一時は福岡までチャーター便で送られる場合もあったようです。近郊の大学の寮が隔離に使われ、WiFiが通じず難儀したという話も聞きました。隔離期間が終わると元の空港に戻されるため、仙台在住の方が東京から仙台のホテルに隔離された後、東京の空港にバスで戻され、そこからレンタカーを借りて帰ったという事例もありました。私は横浜のホテルだったので運が良かったと思います。ホテル到着後は手続きの順番のため暫くバスの中で待機し、お弁当を頂いて部屋へ。午前中に到着してホテルに着いた時には日付が変わっていたというケースもあったようですが、私は15時過ぎに羽田に着き、ホテルの部屋に入ったのは23時少し前でした。

 6日間、窓の開かない10平米ほどの小さな部屋から一歩も出ることは許されません。毎朝決まった時間に検温と健康状況の報告を行い、1日3回ドアの外にかけられる食事を受け取り、食べ終わったものをドアの外に置きます。とても立派なお弁当で有難いのですが、冷たいため、湯沸かしポットでお湯を沸かした上にお弁当を置いて何となく温かくなってから頂くというYouTubeで見た技を実践しました。これだけの無料のケアをする国は日本以外に見当たりませんが、実費で構わないのでホテルを自分で手配できる選択肢もあっても良いのにと心底感じました。

 隔離明けから14日間は公共交通機関を使えず、毎日の居場所の確認と健康チェックの報告、1日数回のビデオ通話での居場所確認を経て、ようやく自由に出歩けるようになります。但し、同じ便で陽性者が出た場合は濃厚接触者として隔離されるため、その恐怖は付きまといます。

 ちなみに、この当時のドイツへの入国は、ワクチン接種証明か陰性証明のいずれかのみで、一部危険地域に指定されている国を除いて事前のデジタル入国登録の提出義務も自己隔離期間もなく、空港に到着してすぐに公共交通機関の利用も可能でした(車内でのマスク着用は法的義務あり)。5月現在も入国に必要な書類に変化はありませんが、今は長期滞在ヴィザの所有者のみならず短期滞在の旅行者も入国が可能になっています。

ウィズコロナに移行する現在のドイツ

 3月中旬以降、世界はウイズコロナに大きく舵を切りました。マスク着用もワクチン接種も撤廃の流れが加速し、経済を優先させるために開国して交流も復活させています。他のEU諸国に比べると慎重派のドイツは、まだ公共交通機関と駅構内、空港、機内ではマスク着用を義務づけていますが、屋外では撤廃。以前は警察が見回り、マスク未着用の場合は罰金160ユーロが課されましたが、現在は簡単な注意程度です。スーパーマーケットなどでは着用は個人の判断で、学校や幼稚園での着用義務もなくなりました。季節柄レストランのテラスやビアガーデンも沢山の人でにぎわっています。

 EU内の移動にはワクチンパスポートも陰性証明書も不要のため、旅行も活発になってきています。円安の今、日本も世界から観光客を受け入れ、国内の需要を活性化させても良い時期に来ているのではないでしょうか。岸田首相も欧州各国を訪問する際はマスクをせず、日本に戻ると着用している姿を見ると、何とも不思議な感覚を覚えます。6月には規制を大幅に緩和して開国に向かうとのアナウンスが聞こえてきていますので、確実に実行してもらえることを切に願うばかりです。

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