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星野リゾートが注力する6つのマイクロツーリズム市場とは?サブスクやポイント開始-海外はグアムに自信、2022春発表会

グアム進出に自信、訪日旅行は欧米豪に注力

オンワードビーチリゾートグアム

 会見では、星野氏が星野リゾートの子会社が3月30日付で、オンワードホールディングスの連結子会社・Onward Beach Resort Guam Inc.の株式等を取得したことについても言及した。今後星野リゾートは「オンワードビーチリゾートグアム」の運営に参画。同ホテルは一定の改装後、星野リゾートブランドのホテルとして再スタートすることとなるが、詳細は未定だ。星野氏は本誌の質問に答え、グアムの市場の大半が日本と韓国からの旅行者で構成されていることから「集客には問題ないと思っているし、日本の仕組みがそのまま当てはまるので、十分運営の力を活かせるという判断から、案件を取り組むことにした」と自信を示した。

 海外の案件については「好不調の波が非常に激しいのが特徴」とコメント。2020年1月から運営を開始した「星野リゾート サーフジャック ハワイ」はアメリカ本土からの集客が元に戻ったことでしっかり集客ができており、台湾の「星のやグーグァン」も、国内リゾートとして台湾人の需要が高く好調だという。一方で「星のやバリ」はバリ島内の需要がなく、ジャカルタからの旅行者は飛行機を利用する必要があることなどからバリ島全体が不調。だだし、施設は開業し続けており、ジャカルタ在住の日本人ビジネスマンとその家族をターゲットに「限られた市場だが、それなりの需要は獲得できている」という。

 今後の海外展開については、PCR検査などの阻害要因がなくなれば日本人の海外旅行・インバウンド共に戻るとの考えで「行き来が始まりだせば急に需要が戻る可能性がある。(海外ホテルの運営も)いい話があればやっていきたい」と意欲を示した。

 インバウンド需要については2025年の大阪の万国博覧会の成功を目標とすべきと主張。今年は「海外旅行・訪日旅行が戻るアフターコロナの最初の年」であり、インバウンドは19年比15%程度を見込む。星野氏は「25年に向かって100%に戻すために動くべきだし、十分その可能性がある」と語り、その上で19年の訪日外国人の70%が中国・香港・台湾・韓国からの旅行者で占められていたことを改めて説明。「(欧米豪など)残りの30%の方が早く戻ってくる可能性がある」と指摘し、特定地域に依存していたインバウンドのあり方を見直すとともに、「旅行情報の発信基地の欧米やオーストラリアからの需要を確保するのは長期的にプラスになるので、しっかり取り組みながらインバウンドを回復させるという発想が重要」と語った。

新GoToは都市部と北海道・沖縄に重点、プラスチックアメニティ削減にも言及

星野氏

 会見では星野氏が県民割・ブロック割について、マイクロツーリズムをサポートする政策として感謝の意を示した。一方で、イベントなどが制限された都市部と、飛行機の移動が伴う北海道・沖縄などはマイクロツーリズムの成果が出ていない点を指摘。「マイクロツーリズムを後押しする県民割・ブロック割からGoToキャンペーンに切り替えていくことが大切」と話した。

 新たなGoToキャンペーンについては、「過去の改善ではなく、今の課題にあったキャンペーン内容にすることが大切。現在の課題は需要回復に格差があるということ」と語り、都市部や飛行機の移動が伴う旅行に対してサポートするべきとの持論を展開した。さらに星野氏は「一番大きいのはもしかしたら割引の金額ではないかもしれない。『もう旅行に行って良い』というメッセージをいかに打ち出すかが重要」と語った。

説明文を提示した際の反応(星野リゾート アンケート結果より)

 このほか、会見では今年4月1日に施行された「プラスチック資源循環促進法」について星野氏がホテルのプラスチックアメニティに関する調査結果を発表。首都圏1000名を対象にアンケートを実施し、歯ブラシなどのアメニティの持参率を調べるとともに、「プラスチックごみ削減を目的に無償の使い捨てアメニティを廃止し、持ち帰って繰り返し使用できる質の高いものを必要な方に手ごろな値段で提供する」という説明文を提示した際の反応などを尋ねたという。結果として、歯ブラシの持参率は42.6%。説明文を提示した場合の反応は、環境に興味がある人以外からも、ホテルの印象が良くなるという結果になった。

 調査結果に対し、星野氏は「こうした取り組みに対して本当にネガティブに感じる方は意外に少ない」と語り、プラスチックアメニティの削減について「すでに取り組みに踏み切れる段階に来ているのでは」と強調。「社内を説得するのが大変で星野リゾートとしての方針は出せていないが、これを機に全国のホテル業界の方に提案し、皆でやろうと提言していきたい」と意欲を語った。