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【2022年開業ホテル】アイヌ文化にモール温泉と北海道白老町の観光資源を生かす星野リゾートの「界 ポロト」

  • 2022年4月11日
界 ポロト外観

 星野リゾートは2022年1月14日に北海道白老町に温泉旅館「界 ポロト」を開業した。2018年6月28日に同町と星野リゾートは、ウポポイ(民族共生象徴空間)をはじめとする関連団体とともにポロト地区で観光活性化に向けた「パートナーシップ協定書」を締結しており、集客・回遊の相乗効果が期待されている。

 

 全42室、星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」の北海道初進出となり、コンセプトは「ポロト湖の懐にひたる、とんがり湯小屋の宿」。 ポロト湖畔で樽前山を一望する立地を生かし、敷地内に湖の水を引き込んで、エントランスから白樺林を抜けるような造りで自然に包まれたような雰囲気を作っている。施設の設計は、建築家の中村拓志氏が率いるNAP建築設計事務所。

 界 ポロトでは、天然植物由来の腐植質の有機物を含有し、独特な茶褐色をした世界的にも珍しいモール温泉を、個性的な2つの湯小屋で楽しめる。アイヌ文化の建築特徴である三角の丸太組み構造「ケトゥンニ」を基本とした「とんがり湯小屋」にある「△湯」と、洞窟や地中にいるかの ような空間の「○湯」である。「△湯」の露天風呂は、まるでポロト湖と一体になっているような絶景が印象的だ。

  客室や館内は、アイヌ民族文化を感じさせるデザインモチーフやアート作品に飾られている。すべてポロト湖に面した4タイプある客室は、アイヌ民族の家であるチセを思わせるような四角い炉をイメージしたテーブルがあり、壁紙やクッションにもアイヌ文様を配している。ご当地部屋の中で3室のみの「□の間(しかくのま)特別室」 には、ポロト湖を見渡せるテラスと露天風呂が付いており、モール温泉を自室で贅沢に楽しめる。

 北海道の食材を生かした食事を提供する器は、地元の作家がオリジナルで作ったものも。可愛らしいクマがじゃがいものすり流しにいくらと雲丹がのった先付けを飾り、アイヌ民族の丸木舟をモチーフにした船形の器に新鮮な魚の幸を使った酢の物・八寸・お造りが豪華に盛られてくる。特別会席のメインは、魚介のうまみたっぷりのブイヤベースに毛蟹や帆立貝を加えた贅沢な鍋で、北海道の美味を満喫できる。

 界ブランドの特徴、ご当地の文化を体験する「ご当地楽」では、アイヌ民族が魔除けとして日常的に身に着けていた植物「イケマ」とハーブを自分自身で組み合わせ、アイヌ文様の袋に入れて魔除けのお守りを作る。ポロト湖一望のロビーで、スタッフが四季のポロトの魅力やアイヌ文化について語るのを聞きながら、思い出になる品も作れる趣向だ。

界 ポロト総支配人の遠藤美里氏

 界 ポロトの若き総支配人、遠藤美里氏は「白老は新千歳空港から1時間かからないアクセスのよいところなのにまだあまり知られていない。夏はカヌー、冬はワカサギ釣りなどポロト湖の季節ごとのアクティビティやモール温泉の魅力、ウポポイと連携してアイヌ民族の文化を感じる空間づくりなどを行って、白老とポロト地区の知名度を上げていきたい」と今後の抱負を語った。

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