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IT系に行った元社員が振り返る今週のニュース ー 値上げに踏み切れないのは自社の付加価値に自信がないから

  • 2022年4月3日

 今週、圧倒的に面白かったトラベルビジョンの記事は亜欧堂堀口氏の値上げ提案でしょう。もう至極真っ当な話で、こういう書き方は失礼かも知れませんが、業界全体として値上げをしていくことなんて堀口氏がおっしゃらなくても当たり前なんですよね。まあ最早業界を離れた身としては安いに越したことはないっちゃないんですが。
 最近米Amazonがまたプライム会員を値上げすることがニュースになっていましたが、価格に見合う価値を提供し続けてる自負があるからこそ、数年単位でガンガン値上げをしていくのでしょう。めちゃくちゃ極論を言えば、客単価利益が倍になれば客数が半分になってもイーブンなわけですし、コロナを機に旅行会社も値上げをするべきなはずです。

 ただ、そんなことは理屈で皆さんわかるわけで、値上げに際してビビるのは「想定よりも顧客数が減ること」でしょう。これは本質的には付加価値を創造できているという自信がないことが問題なのだと思います。自分でLCCと宿をそれぞれ直接取るのより高い値段取られる理由は何? っていう疑問に答えられるのかということです。この質問への答えこそが、旅行会社を経由して旅行に行く本質なのだと私は思っています。

 インターネットが普及する以前は、旅行者が自身で予約する手間を省くことが付加価値だったのでしょうが、今となってはスマホから何でも自分で取れてしまいます。外国語だってDeepLでも使えば全部なんとなくわかります。じゃあ、例えば顧客情報を集約して、海外のイベントをタイムリーに勧めることができるとか、現地のスペシャリストがいて穴場を説明できるとか、何かニッチな層に提供できる特殊なコンテンツがあるとか、会社ごとに答えは違うと思います。ただ願わくば「おっしゃるとおり、ご自身でLCCとホテルを取ったほうがいいですよ」と答える会社が一社もないことを祈りますが。