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【コラム】坂巻会長のご冥福をお祈り申し上げます

  • 2021年7月16日

 15日、当コラムを執筆している時に訃報が届きました。先月のJATA定時総会では闘病を続けて居られることを自ら語られたものの、まさかこんなに早く訃報に接しようとは思いもよりませんでした。

 「旅行業は素晴らしく、価値有るもの」「会員の声を聞き、次の旅行業を築き上げて行きたい」とも語られておりましたので、当社及び読者の皆さんからの意見・質問、現場の生の声を直接坂巻会長に届け、観光産業復活のため前向き且つ真摯な議論をさせて頂きたいと思っていた矢先で、残念でなりません。

 謹んで哀悼の意を表します。

 JATA上層部の皆さん、未曾有の危機を迎えている今、業界団体の果たすべき役割は極めて大きく、その行動・成果如何で生き残れる会社の数も変わると思っております。新たな会長選出にあたっては、現在の役職や序列、コロナ前の業績や忖度に囚われず、この危機を乗り越えるために相応しい、変化を起こせる方を選んでいただきたいと切に願います。

 殆どの旅行会社がコロナ前の規模を維持することは出来ないでしょうし、残念ながら退場せざるを得ない会社、異業種への人材流出も避けられないのが現実です。最早、面に対する対処療法や延命治療でなんとかなる状況では無く、コロナ後の観光産業を創れる事業者をどう生かすか、退場せざるを得ない方の痛みをいかに軽減するかに舵を切るべきときです。

 漸く先に仄かな光明が見えてきましたが、環境の好転と業界・我々自身の変化の双方が同時に実現されない限り、その光を我々は享受することは出来ません。

 坂巻会長が願われた「次の旅行業の創造」にJATAがリーダーシップを発揮することを期待しますし、それが実現出来ない場合は存在意義が問われることになるのでは無いでしょうか。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​