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【スイス現地レポート】大幅な規制緩和で、美しい夏シーズンを満喫できる状態に

マッターホルン観光の新施設、グレッシャー・エクスプレスの最新情報も

 夏真っ盛りのスイス。今年は春から非常に長く不安定な気候が続き、7月に入りようやく夏日を迎えました。コロナ禍の規制緩和も最終段階を迎え、人々は待ちに待った気持ちの良い季節を大いに満喫しています。ヨーロッパでは6月よりサッカーヨーロッパ選手権が開催され、オリンピックに先駆け大いに盛り上がっていました。スイスも王者フランスを破り、70年ぶりにベスト8に進出するなど、スイス人にとっても思い出深い大会となりました。

 今回もスイスのコロナ禍の現状と共に、スイス観光の最新情報として、マッターホルン観光のための新施設、新プロジェクトをご紹介します。また、マッターホルンの麓の村ツェルマットから発着する大人気の観光列車、グレッシャー・エクスプレスのアップデートも併せてお伝えします。(文・写真 スイス・チューリヒ在住 高橋絵美)

※2021年7月9日の情報を基に執筆しています。
※これまでのスイス現地レポートはこちら >>> 第2回第1回

ツェルマットから望むマッターホルン

6月末より大幅に規制緩和
「COVID証明」の提示でイベントなども制限無しに

 春先より続いた、ロックダウンの段階的な規制緩和。5月末に飲食店の店内もオープンし、その後も引き続き感染者数が低迷傾向にあることから、6月26日にさらなる緩和が発表されました。飲食店や小売店の室内、公共交通機関内でのマスク着用義務は継続されるものの、飲食店での着席数人数制限、店舗の入場制限人数なども撤廃され、「4人以上で外食ができる!」、「もうお店に入るのに並ぶ時間を気にしなくて良い!」と、日常の自由度がより一層増しています。また、以下で説明する「COVID証明」の保持者を対象に、長らく閉鎖していたクラブやナイトクラブの営業も可能となり、大規模イベントの開催も人数制限と規制共になくなりました。

この季節の人気は、やはりテラス席。規制緩和でリラックスムードが漂います。

COVID証明とは?

 COVID証明とは前回の現地レポートでお話している「ワクチンパスポート」のことで、「COVID証明」と名称を変えて普及し始めています。というのも、この証明はワクチン接種完了の証明のみならず、過去6ヶ月以内にコロナに感染し治癒した証明、そして72時間以内のPCR検査の陰性証明もあわせて表示されることになったからです。COVID証明は紙面、または指定のアプリからデジタル版を入手し表示が可能。現在、EU圏で使用される「EUデジタルCOVID証明」との調整も終わり、7月9日よりスイスとEU圏内でそれぞれの証明書が使用可能となりました。

スイス連邦内務省保健庁サイト内、「COVID証明」デジタル版のサンプル画像

ワクチン接種も順調に普及
夏休み前の接種を希望する人多数

 年始から徐々に進んでいたワクチン接種も最終段階を迎え、5月半ばから16歳以上の健康な一般市民も徐々に予約できるようになりました (6月より12歳以上も可能に)。7月6日時点で、1回目を接種した人は全体の53%、2回目まで完了している人は38%と急ピッチで進められています。ワクチン接種の有無が、スイス国外への旅行する際の隔離義務やPCR検査陰性証明の提示有無に大きく関わってくるため、どうにか夏休み前に2回目を済ませたいと希望する人が多いのが現状です。

 スイスの旅行業界誌「トラベル・インサイド」が実施した大手旅行会社への調査によると、6月初旬よりスイス国外への旅行予約が顕著に伸びているとのこと。人気はやはり、地中海の島々などでのビーチホリデー。ワクチン接種を終えている場合には、万が一旅行先が滞在中に突然隔離指定国・地域になったとしても、スイスへ帰国後の隔離義務が発生しません。久しぶりにそのような心配や不安から逃れ、休暇を謳歌できる人が大勢いることでしょう。

チューリヒのリマト側沿い。夏場は川沿いも美しい。

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