フランス、「SAKIDORI FRANCE」をオンライン開催、日本市場は年末から来春の回復見込む

  • 2021年6月29日

2021年はフランス観光PR開始50周年、日仏双方向の感心高いSAKIDORI FRANCE

マゼンク氏

 フランス観光開発機構(アトゥーフランス)は6月22日、23日の2日間にわたり、ワークショップ「SAKIDORI FRANCE 2021」を開催した。コロナ禍の影響を受け、昨年に引き続き、今年もオンラインでの開催となったが、フランスでは5月3日から段階的におこなわれている新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の規制緩和がはじまったこともあり、ワークショップ参加企業・団体は日仏ともに昨年よりも増加した。

 アトゥーフランス在日代表のフレデリック・マゼンク氏は「2021年はフランスが1971年3月に日本に初めて観光プロモーション機関を置いて以来、ちょうど50周年に当たる。それまでフランスは一度も日本から撤退せずに、観光プロモーションを続けている」と挨拶。

 フランス側の出展者は昨年の19の企業・団体に対し今年は25に増加。日本側の旅行会社は昨年39社48人が今年は48社76人、メディアも12社から18社とそれぞれ増加。オンライン開催により大阪や福岡などからの旅行会社の参加が約3割を占めたことなどプラスの側面もあったという。アポイント数も前年の308セッションに対し、今年は400セッションが組まれ、フランス側、日本側双方の市場に対する興味の高さをうかがわせた。

日仏観光再開本格化は日本側の規制緩和が鍵

 規制緩和の一環で、フランスでは6月9日には一部海外からの旅行客の入国受け入れを開始し、国内やEUを中心に観光プロモーションをおこないながら、旅行業の再開・復活に向け歩みを進めている。このほどマゼンク氏に、今後の同機構の日本市場に対する取り組みや見通しなどについて話を聞いた。

 フランスの新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の規制緩和の第3段階では、外国人観光客の受け入れが開始されることとなり、日本からの観光客も「ワクチン未接種でも航空便搭乗の際に72時間以内の陰性証明を提出すれば到着後の自主隔離は不要。ワクチン接種が完了していれば陰性証明も必要ない」というグリーンゾーンの国に分類され、フランスへの入国が可能となった。さらにエールフランス航空(AF)も6月21日から週3便で、7月8日から10月30日までは週5便の予定で羽田/パリ便の運航再開を発表。

 フランス国内のワクチン接種も1回接種が48%、2回接種が30%となっており、10月前半にはおおかたのワクチン接種を終了する予定だという。コロナ禍を機に美術館やショップなどでの消毒の徹底なども恒常化しており、実質フランスでは観光旅行が可能な状態になっているが、日本への入国(帰国)の際に依然14日間の検疫が課せられていることから、「この日本側の条件が緩和されない限り、正常化は難しい」とマゼンク氏。しかし旅行会社の中には年末や来年春からゴールデンウイークに向けての商品造成に動いているところもあり、また「ビジネス渡航は動き出している。日仏の旅行は早ければ年末、少なくとも来年春頃には動きが出てくるのではないか」と話す。

リカバリーへ向けて着実な歩み、コロナ禍中は日本市場の特徴を現地にアピール

 現在アトゥーフランスでは規制緩和を受け、7月からはフランス国内やベルギー、オランダ、スペインなど英国を除く近隣のEU諸国に対して夏の旅行プロモーションをおこなうほか、9月からはグローバルキャンペーンとして、ロングホールの地域に向けたPRを実施する計画でおり、その中にはアジアの重要地域として中国と日本も名を連ねているという。さらに11月にはフランス国内で、世界各国の主要な観光関係者を招聘しての観光会議も予定されるなど、コロナ後のリカバリーは着々と進められている。

 しかしながら、フランス国内の旅行業者は2020年から夜間を含む外出禁止など様々な規制により実質停止状態にあった。しかしフランス政府が2020年は約180億ユーロ、21年は370億ユーロの予算を投じ旅行会社やホテル、キャンプ場など旅行業従事者に給与の100%に当たる金額を支援。またその間アトゥーフランスでは国内向けの観光PRのほか、アウトバウンドとしてはオンラインやSNSなどを利用した観光プロモーションなどを図っていた。また日本市場は「フランスにとって生活文化などに対する理解度の高さなどを含め、依然高品質な重要地域」と位置付け、マゼンク氏らがフランスの旅行業者に向けて、12回にわたり日本市場の特徴などについてのセミナーをおこなったという。

 今後の日本市場に対しては、まずは新型コロナウイルスの状況を見つつ、今年度末辺りからプロモーションを計画している。主なセグメントとしてはシニアや女性、三世代旅行、ハネムーナーを中心に、さらにスキーやサイクリング、料理など、ニッチではあるが確実に存在するSIT層にも目を向けながらプロモーション展開を図っていくほか、引き続きSNSを利用したオンラインPRも継続していく。旅行業界向けにはeラーニングのリニューアルもおこなっていく予定だ。