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豪州の「今」を駐在員の視点から-続く厳格な水際対策、入国制限の完全解除は2022年以降?

 世界的に見ると新型コロナウイルスの封じ込めに成功し、事実上の新型コロナウイルス・ゼロ戦略を取るオーストラリア。そのオーストラリアにおける新型コロナウイルス対策、ワクチン接種の状況、ワクチン・パスポートへの取り組み、今後の国境オープンの見込みなど、オーストラリアの今をレポートします。

オーストラリアの現在の感染状況とワクチン接種進行状況

2021年6月14日現在: Department Health, States & Territories Report

 本稿執筆時点(6月15日)の段階で、オーストラリアでは市中感染の発生は限定的となっており、感染者の殆どは海外からの帰国者となっております。

 5月下旬にビクトリア州で発生した市中感染は、海外からの帰国者が滞在している隔離ホテルからのウイルス漏洩と判定され、また実質的鎖国政策による厳しい水際対策を取るオーストラリアで発生している市中感染の殆どが帰国者隔離ホテルからの漏洩となっていることから、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州では、海外帰国者専用の隔離施設の新規建設議論が連邦政府との間で盛んに行われています。

2021年6月13日現在: Australian Government Department of Health (Australian Immunisation Register and self reported data)

 ワクチン接種回数は全豪で約600万回弱、全人口約2,500万人の約25%に留まっております。当初の連邦政府発表の予測と比較すると接種回数に遅延が発生しており、その要因として欧州からのワクチン到着の遅延、アストラゼネカ製ワクチンの血栓問題等が上げられますが、オーストラリア国内での感染者を抑え込んでいることにより、ワクチン接種希望者の減少が発生していると考えられています。

 このような事態を鑑み、オーストラリアのナショナルフラッグキャリアであるカンタス航空では、ワクチン接種者に対し、抽選で1年間無制限の乗り放題チケットや1,000ポイントのフライトバウチャー及びクレジットを提供するなどのワクチン接種を奨励するインセンティブを実施するとの発表をしています。

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