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ニューヨークの「今」を駐在員の視点からーニューヨーク旅行のお土産はワクチン!?

ワクチンツーリズム

 ニューヨーク州は5月13日より州内在住者または州内就労者に限定していた接種対象を「ニューヨークを訪れた旅行客も接種できる」と発表。同日ニューヨーク市はグランドセントラルターミナル、ペンステーション、タイムズスクアなど多くの旅行客が通過するスポットにポップアップ接種会場を設置しました。これらの会場では1回きりで接種完了するジョンソンエンドジョンソン社製ワクチンを提供、米国内居住確認を省略して国外居住の外国人にもワクチンを接種しているケースが多数報告され、日本でも報道されていたかと存じます。

 接種会場訪れると受付で自分のスマホを使ってオンラインで個人情報を入力しパスポートで本人確認。受付は問診と合わせて10分程度で終わり、直ぐに接種という流れになります。実際にそれらポップアップ会場の様子を5月中旬覗きに参りましたら、中南米からお越しになっている思われる観光客が多く、スペイン語を話せるスタッフも多くいらっしゃいました。

グランドセントラルターミナル構内のポップアップワクチン接種会場。外国人観光客も予約なしでJ&Jワクチン接種を受けられるケースが報告されている。

 「ニューヨークを訪れた旅行客も接種できる」と行政が謳い始めた5月初旬は全米殆どの州で接種対象者が16歳以上(ファイザーは12歳以上)に既に引き下げられておりワクチン供給に余裕があった時期。あえてニューヨークを訪れなくとも米国在住者は難なく地元で接種できていましたので、特別に接種対象を広げる発表を行ったのは外国人観光客を呼び込むためというのが公然の秘密です。外国人旅行客の来訪はコロナ禍で大打撃受けた観光業飲食業を筆頭に経済にとって大きくプラス。新規感染者数が減り続けワクチン供給に余裕がありますので、米国の税金で賄われているワクチンを外国人観光客が享受しているのを米国市民は静観しているどころか、自ら「接種対象は米国在住者に限る」というルールを度外視して推し進めているのが実情です。

 ニューヨーク市公式Twitterは、5月6日、「ようこそニューヨークへ、ワクチンがあなたを待っています!」というメッセージを発しています。

引用元:https://twitter.com/nycgov

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