コロナ下で迎える第二創業期への挑戦と覚悟-「Relux」のLoco Partners 塩川一樹氏

宿泊予約サービスから人と地域をつなぐプラットフォームへ

 宿泊予約サービス「Relux」を運営するLoco Partnersは、創業10年目を迎えた今年、第二創業期を宣言し新たなミッションとビジョンのもと、次なる10年に向けて踏み出した。コロナ禍の中で迎えることになった第二創業期への思いや事業拡大の展望を同社代表取締役副社長の塩川一樹氏に聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

Loco Partners代表取締役副社長の塩川一樹氏
-まずは貴社とご自身の紹介をお願いいたします。

塩川一樹氏(以下敬称略) Loco Partnersはベンチャー企業として2011年に創業しました。2017年にはKDDIの子会社となり、2020年には経営陣を刷新すると共に、この年を第二の創業期に位置付けました。運営する宿泊予約サービスReluxは掲載宿泊施設の厳選が特徴で、全国約3,200軒の旅館、ホテルを紹介。利用会員数は300万人を超えています。

 私自身は新卒でJTBに入社し大阪で団体旅行などを担当しましたが約1年半でリクルートへ転職し、3年間ほどじゃらんで営業を担当。その後、トラベルズーを経て2012年7月に創業間もないLoco Partnersに取締役として参画しました。

-第二創業期を宣言した背景と、その基本的な考え方を教えて下さい。

塩川 内部要因は経営陣の刷新、外部要因はコロナ禍により全体の見直しが必要になったことです。加えて創業から10年目の節目を迎え、次の10年を見据えるタイミングだったことも理由です。

 第二創業期の基本コンセプトは「継承と進化」です。第一創業期から受け継ぐべきものを見極め、変わらぬ思いを再認識する、これが継承です。一方、事業面では環境の変化に応じたアップデートが必要との観点から進化を目指すことを明文化しました。第一創業期には「アジア」の宿泊予約サービスを目指すことを掲げていましたが、第二創業期は地理的なスケールを取り払うことにしました。また旅行代理店の枠組みを超えてどのような価値を提供できる会社になりたいかを見つめ直したうえで、会社としてのミッションとビジョンを掲げました。第二創業期のミッションは「日本に驚きなおそう。」。ビジョンは「人と地域を深くつなげるプラットフォーム。」です。

-コロナ禍により宿泊ビジネスを含む観光産業は大変困難な状況に置かれています。国内の旅館やホテルはいま何をすべきでしょう。

塩川 現場の状況を聞くにつけ、辛く悲しく寂しい思いが高まります。ホテルで働いていた知人が退職し、旅行会社の友人が他業界へ去って行きました。現状の苦しさは私も理解しているつもりですが、嘆いてばかりいても仕方がないのも事実。もともと稼働率の高い時期も逆に閑散期もあってボラティリティが大きいのがこの業界の普遍的な特徴です。この変動に短期的、長期的に耐えられる企業力を鍛え続けていく必要があります。たとえばポートフォリオの分散や、こういう時だからこそできることに取り組み未来のストックに変えていく姿勢が求められるのだと思います。

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