【コロナに負けず】Klookマーケティングディレクターの山崎真宏氏

山崎氏(写真提供:Klook Travel Technology)  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって、壊滅的な被害を受けている観光産業。旅行会社もその多くが営業活動を大幅に縮小して、嵐に耐えている。各社は現状や回復の時期をどのように分析し、どのような対策を講じているのか。旅行会社をはじめとする関係企業の経営者やキーパーソンの率直な意見を掲載する本シリーズ「コロナに負けず」の第5弾は、2014年に香港で設立し、これまでに多額の資金調達に成功してアジアを主戦場にビジネスを急拡大してきた、タビナカ体験予約プラットフォーム「KLOOK」を運営するKlook Travel Technologyを紹介する。

 同社は17年9月に日本法人を設立し、訪日旅行者向けの体験商品の提供を開始。19年4月には日本語版サイトも開設し、海外旅行者向けの商品展開を始めた。コロナ禍によって訪日旅行も海外旅行もほぼ動きが止まっている現在は、新たにオンライン体験商品「KLOOK home」の取り扱いを開始するとともに、日本の国内旅行者向けの体験商品を強化するという。今後の市場の見通しや取り組みについて、アマゾンジャパンやウォルト・ディズニー・カンパニーなどでマーケティングのキャリアを積んだのち、昨年6月に入社したマーケティングディレクターの山崎真宏氏に話を聞いた。インタビューは6月3日に実施した。

-まずはKlook Travel Technologyの事業概要についてお聞かせください

山崎真宏氏(以下敬称略) 「KLOOK」は旅行先での体験商品の予約プラットフォームで、世界中の旅行者がいつでもどこでも、思い立った時に予約できることをミッションとして掲げている。現在は世界の29ヶ所にオフィスを構えて、それぞれ現地でマーケティングと商品開発に努めている。日本では東京・大阪・札幌に続き、今年3月には福岡にもオフィスを開設し、商品ラインナップを拡充している。COVID-19の拡大以前のグローバルでの月間訪問者数は3000万人以上で、利用者からのクチコミは500万件以上に上る。

 「KLOOK」はモバイルファーストを念頭において構築したプラットフォームなので、特に若い世代に支持されており、18歳から34歳までのユーザーが75%を占める。モバイル経由の購入率は75%を超え、このことはタビナカでの予約に優れていることを表している。ユーザーは世界の180ヶ国以上に存在し、特に中華圏や東南アジアのユーザーが多いが、日本と韓国のユーザーも合計で全体の15%を占める。世界各地のインバウンド市場で、バランスの良いビジネスが成り立っていると見ている。

-設立後は順調にビジネスを拡大してきましたが、今年に入ってからのCOVID-19によって、状況は大きく変化していると思います。現状をどのように見ていますか

山崎 感染拡大のペースや拡がり方にあわせてKlookのビジネスにも影響が広がってきており、今年の1月にまず中国・香港・台湾、2月にその他のアジア、3月に日本、4月に欧米と、順番にダメージを受けてきた。そのマグニチュードについては、概ね他の旅行・観光業者と同じ程度だと思う。

 ただし中国・香港・台湾は4月に入り、復調に転じた。特に中国については国内の体験商品の開拓と、あわせて集客にも力を入れていたため、3月後半から4月にかけて回復傾向が顕著になった。