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専門性で生き残る:秘境旅行のHISネイチャーワールド

渡航歴豊かなデスティネーション開拓者7名が集結
世界275拠点を活用、「弾丸たび」など新たな選択肢も

 OTAの躍進や相次ぐ他業界からの参入などにより、環境変化が進む旅行業界。しかし厳しいビジネス環境においても、専門分野における経験とノウハウで勝負し、利用者の信頼を獲得し続けている旅行会社は多い。そのような専門型旅行会社の現在の業況や今後の展望を紹介するシリーズ「専門性で生き残る」の第11回は、これまでとは趣向を変えて、エイチ・アイ・エス(HIS)の1セクションである「秘境旅行専門デスク」のネイチャーワールドを紹介する。HIS関東海外旅行事業部で専門店エリアを統括する、エリアリーダーの狩野知保氏に話を聞いた。インタビューは2月上旬に実施した。

-まずはネイチャーワールドの歩みと、ご自身の紹介をお願いします

狩野知保氏(以下敬称略) ネイチャーワールドはもともと、2007年にHISのなかの1セクションの「世界遺産専門デスク」として開設されました。取り扱う旅行の内容を分かりやすくするため「秘境旅行専門デスク」と銘打つようになったのは2年前のことです。

 私は中部エリアで新卒としてHISに入社し、10年に東京に異動して、オーダーメイド旅行を扱う子会社のクオリタの立ち上げに携わりました。学生時代にポルトガル語を専攻していたこともあって、その後はブラジルのサンパウロ支店に4年間駐在し、2年前に帰国して現在のエリアリーダーに就任しました。

-HISではそもそも、“秘境”という言葉をどのように定義していますか

狩野 秘境というと普通の人が足を踏み入れることのできない地域をイメージしますが、HISでは個人旅行型の「Ciao」や添乗員が同行する「Impresso」など、通常のパッケージツアーでは取り扱っていないエリアや取り扱いが少ないエリア、または情報が少なく個人で行くにはハードルが高いエリアと定義しています。

-HISにおけるネイチャーワールドの位置づけと、近年の業況について教えてください

狩野 ネイチャーワールドには、HISのなかでも特に海外渡航歴が豊かで、新たなデスティネーションの開拓に意欲的な7名の「旅マイスター」が集結しており、ある意味でHISのなかの秘境と言える感じがあると思います。旅マイスターが提案するのは、自らの体験や感動をもとに造成した、通常のパッケージツアーでは満足できない真の旅行好きの方々向けのツアーで、多くは現地に日本語話者のガイドと専用車を用意しているのが特徴です。ツアーのカスタムや、オーダーメイド旅行の手配も可能です。

 取り扱っている国と地域の数は50ほどで、設定するツアーは年間約200本に上ります。取扱人数は一部のツアーを「Ciao」や「Impresso」にも掲載しているため正確には言えませんが、この2年間で売上高は4割増と大幅に伸びました。

-売上高が一気に4割も伸びた理由は何でしょうか

狩野 ツアーの内容を見直したり、仕入先を変えたりといった、目に見えにくい努力が実を結んだ結果だと考えています。7名のスタッフは皆、年に1回以上は海外を視察しており、自らが得た新しい情報を商品に反映しています。