未来の業界人が先輩から学ぶこと、「学生記者」第1弾
-お相手はJTBの市川翔子さん

【TV×東洋大・島川ゼミ共同企画】
パッケージツアーへの熱い想いから知る「旅行会社の強み」

-仕事をされてきて印象に残っていること、感動したことはありますか?

市川 去年、2年目の時に私が担当したコースでお客様がオーストラリアをご旅行中、日本にいるご家族がご不幸に遭われてしまったことがありました。その時お客様はエアーズロックにいらっしゃったのですが、一刻も早いご帰国をご希望でしたので、私たちと地上手配、現地支店と航空手配とで協力をして、航空手配の仲間たちは航空会社に事情を説明して振り替えを交渉し、現地支店はお客様のケアをし、結果的にはお客様のご希望通り一番早い便で次の日には日本にお戻りいただくことができました。

 そして現地ガイドがお見送りした際には、お客様からガイドに「今回はエアーズロックで終わりになってしまって、シドニーには行けなかった、シドニーを見ることができなかったので次は絶対またオーストラリアに来てシドニーを楽しみます」と笑顔で仰ってくださったそうです。

 私はこの報告を読んで「ああ良かったな」と嬉しく思いました。悲しいことがあったのに「また絶対来ます」と言ってくださったことは、現地や私たちの対応がご評価いただけたのだと感じています。

-学生時代の自分と、今の自分どちらの方が好きですか?

市川 どちらが好きかを決めることはとても難しいですが、学生時代の方がのびのびとはできていました。好きなことに一直線で、やりたいことをいっぱいやる、というようなところが私の強みというか私らしいところだと思っていましたし、学生時代の方が私らしくのびのびできていたかなと思います。

 ですが、入社してからの私の方がパワーアップはできたかなと思っています。やりたいことだけやればいいわけでは勿論ないですが、同時並行が苦手だった点もできるようになりました。感情だけでなく冷静に判断するというのも少しずつ身についてきていて、こういったところはパワーアップできた点だと思います。学生時代の私のままだったらできなかったことが入社してできるようになったことで、業務も当然ですが気持ち的にもパワーアップできたのかなと思います。

-市川さんの今後の展望は?

市川 もしかするといずれは結婚して子供を産むかもしれないと思います。でも、新入社員の頃に一緒に働いていた方が産休明けだったんですが、その方が「仕事の時間は誰よりも電話をたくさんとって、誰よりも手配の業務をこなしたい」っていう風に話されていて、すごいと思ったんです。全然まだ先のことかもしれないですけど、私も女性としてそういう風に言える人になりたいなと思っています。

 今はひとまず地上手配担当として、もっと学ばなくちゃいけないこともありますし、周りの方、先輩たちが本当に良い人たちなので、みなさんのお役に立ちたいという思いがすごくあります。将来的にはやっぱりパッケージツアーを今後無くさないために、もっと良さをもっと知ってもらうためにはどうしたらいいかを考えるような仕事ができたらいいなと思っています。

-ありがとうございました
取材後記
 手配というお客様の顔が見えない業務で、お客様、代理店と現地の間に立ち、仕事をされる市川さん。大学時代からの想いである「パッケージツアーを無くしたくない」というお考えは、私たち観光を学ぶ学生も忘れがちである「旅行会社の強み」を再認識させてくださるものでした。

観光学を学んだからこそ、観光業界のなかで想いを持って活躍、貢献ができるのではないか。旅に対する熱い想いを抱き続ける市川さんの姿は、自身の軸を持って社会で働くことの楽しさや難しさを伝え、お客様には見えない旅を提供する人の想いに触れることができました。(内藤)