政府、新たな成長戦略と骨太方針を決定-観光はビジョン実現へ

  • 2017年6月12日

 政府は6月9日の臨時閣議において、第2次安倍内閣発足から5回目の発表となる新たな成長戦略「未来投資戦略2017」と、毎年策定している「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)を決定した。「未来投資戦略」はIoTやビッグデータ、人工知能(AI)、シェアリングエコノミーなどをあらゆる産業や社会生活に取り入れ、社会の課題を解決する構想「Society 5.01」の実現をめざすもので、「移動革命の実現」など日本の強みが生きる5分野に集中的に投資する方針を明示。骨太方針については予算編成に反映する。

 「未来投資戦略」のうち観光関連では、このほど策定した「観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2017」を踏まえて、省庁横断型の課題を明記。迎賓館や桂離宮などの公的施設、古民家などの歴史的資源、文化財、国立公園、などの活用推進に加えて、宿泊産業のビジネスモデルの変換、民泊サービスへの対応、世界水準のDMOの形成、都道府県別の旅行消費額統計調査の本格実施、観光経営人材の育成、「キッズウィーク」創設による休暇改革などに取り組むとした。

 航空関連では、新千歳や函館など北海道の7空港について、多様な広域観光ルートの開拓などの観点から、一括民営化に向けた運営権者の選定を進めることを示した。また、公共のクルーズ船向け旅客ターミナル施設やMICE施設などについても、空港と同様にコンセッション方式を導入し、先行事例の形成をはかるとした。

 骨太方針については、観光の基幹産業化や訪日旅行における消費額拡大などに向けて、ナイトエンターテイメントや伝統芸能などについて外国人向けコンテンツの開発を進めるほか、国別プロモーションの高度化、国際会議などMICEの誘致、ビザ取得要件の戦略的緩和などを推進することを説明。また、羽田の飛行経路見直しや、コンセッションによる空港の機能強化、官民連携による国際クルーズ拠点の形成、CIQ体制の整備、上質な宿泊施設の拡充、通訳ガイドの質・量の充実、ランドオペレーターの登録制度導入なども課題として列挙した。

 そのほか、カジノを含むIRについては「世界最高水準のカジノ規制」を導入し、「クリーンで魅力ある日本型IR」の整備と推進を進める方針を明示。家族連れで楽しめる娯楽施設や国際会議場などを一体的に運営して国際競争力の高い滞在型観光を実現し、カジノによる収益は公益のために幅広く還元するとした。