トップインタビュー:Booking.com日本地区統括のブラウンステイン氏

日本市場は好調に推移
17年はビジネス需要の取込強化

-そのほかに17年に強化したい点を教えてください

ブラウンステイン 17年の鍵となるポイントはビジネス需要だ。我々は長年、ビジネス旅行市場の潜在的な可能性は認識していたが、あまり力を入れてこなかった。しかし、現在はBooking.comの全世界の利用者のうち20%がビジネスで利用している。多くの日本人利用者はレジャーで利用しているが、日本でもビジネス需要は非常に大きく、ポテンシャルも高いと思う。

 現在は日本国内のビジネスホテルの取り扱いを強化している。以前から「ホテルマイステイズ」のようなビジネス特化型のホテルと提携しており、そのようなホテルの提供を拡大していきたい。また、今後は企業向けの出張管理システム「Booking.com for Business」の利用促進にも注力する。

 訪日客については、1度の旅行でビジネスとレジャーを楽しむ「ブレジャー」需要に取り組みたい。日本では「出張は出張、余暇は余暇」と分けて考える傾向が強いが、海外では当たり前のコンセプトだ。ある調査によれば、海外出張者の3割が「給料は安くなっても良いので、もっと色々な場所に出張したい」と回答しており、従業員の出張へのニーズは高い。企業も海外出張は従業員の成長や福利厚生などにつながると考えている。

 例えば海外からの出張者が月曜日から金曜日まで東京で仕事をする場合、金曜日の夜に帰国するよりも日曜日の夜に帰国する方が航空券は安い。欧米の出張者には「延泊して土曜日も現地に滞在する」という選択肢がある。延泊した場合、土曜日は近郊の箱根などに宿泊し、日本文化を体験できる。こうした延泊に我々の取り扱いを増やすチャンスがある。


-宿泊施設向けサービス「BookingSuite(ブッキング・スイート)」の成果と今後の方針を教えてください

ブラウンステイン ブッキング・スイートは日本国内で大きな成功を収めている。宿泊施設に多言語サイトの作成やマーケティングツールなどを提供するサービスで、多言語サイトを自由にデザインできる「WebComplete(ウェブ・コンプリート)」と簡易版の「WebDirect(ウェブ・ダイレクト)」があり、特にウェブ・コンプリートが急成長している。国別の利用施設数を見ると日本は3位で、ホテルよりも旅館が利用するケースが多い。今年3月時点では営業担当者2名、制作担当者2名で運営していたが、現在は需要を踏まえて制作担当者を8名に増やしている。

 また、今年の1月から提供を開始した宿泊料金適正化のためのツール「RateManager(レート・マネージャー)」も好調だ。大阪や東京など都市部の料金競争が激しいホテルから人気が高く、今後は販促を強化するとともに機能を拡大していきたい。