神戸らしさと特別感-おとな旅神戸(3) "神戸愛"を商品化

 山田さんはツアー設定には、地域に配慮し協力を得ることを基本に、面白いものづくりには行政的観点の排除も必要という。

民間観点で自信の企画 交流、満足度向上の好循環

 そこを埋めるのが市民アドバイザー。「自分の名前が出るので皆さん一生懸命に企画されています」と、民間の観点で自分が面白いものを自信を持って企画するため、神戸の魅力も伝わり、品質も高まる。そして同行案内まで担当することで「人との交流を生み、満足度も上がるのではないでしょうか」と好循環を生んでいる。

 山田さんは「その道のエキスパートが神戸のためにと引き受けてくださる。神戸に根付く神戸愛という文化は大きな武器だと感じました」。

  企画から同行まで同一人がこなすのは古き良き旅行会社を彷ふつとさせる。地元からの支持も高く、顧客志向という点でも現代の旅行業にとって注目すべき点だ。

 おとな旅は「おしゃれで上質なまち神戸」のプロモーション手段としても位置付け。さらに地域の事業者間、市民とのつながりの創出など収益以外の効果も生んでいる。

 11-3月期ではプログラム数を前回の57から88に拡大。今回は遠方からの誘客促進のため大阪へのPR展開や、宿泊ツアーの導入、市内の旅館ホテルとの連携で宿泊優待プランを設定するなど宿泊誘客にも挑戦する。今後は旅行会社とのタッグによる商品化も視野に入れる。

 「PRの強化や将来的な運営形態など課題は山積でまだまだ暗中模索」と山田さんは語るが、この冷静かつ貪欲な姿勢がおとな旅の着実な発展を支えている。


情報提供:トラベルニュース社