旅行業倒産、4月は前年より5件減の2件-宿泊業は10件に

  • 2014年5月13日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、2014年4月の旅行業の倒産件数は前年から5件減の2件だった。東日本大震災関連倒産件数は0件。負債総額は前年比84.4%減の1億4000万円となった。

 TSRによると、海外旅行では円安やタイの政情不安などの影響もあるが、国内旅行は比較的堅調な企業も多かったことで、全体の倒産件数は低水準にとどまったという。

 主な倒産は、愛知県名古屋市の第3種旅行業、チャイナトラベルネットワーク。同社は中国発のインバウンドと日本発の中国旅行を専門に扱っていたが、業歴が浅く同業者の競争もあり売上が低調に推移。日中関係の悪化から売上減少に拍車がかかり、資金繰りが逼迫し先行きの見通しが立たず、事業継続を断念した。

 宿泊業の倒産件数は前年から1件減の10件で、東日本大震災関連倒産は2件。負債総額は47.7%減の32億7600万円だった。倒産は、負債総額1億円以上が6件、1億円未満が4件となった。

 負債総額が最も大きかったのは、山形県南陽市の「いきかえりの宿滝波」で9億円。上杉藩庄屋多層曲家を復元した9棟の純和風木造建築の旅館で、赤湯温泉管内最大規模の施設を有する旅館として知名度があった。しかし、旅行会社経由の宿泊客の減少や、地元顧客の宴会需要の減少、老朽化した設備の更新負担や代表者個人の貸付金などが負担となり、厳しい経営状態が継続した。

 経営改善を進めたが、震災の影響もあり業績悪化に歯止めがかからず、2013年11月30日に会社分割。新設した「いきかえりの宿瀧波」へ事業を移し、負債が残る「いきかえりの宿滝波」を法的手続きで再生させる運びとした。なお、旅館は新会社で通常に営業している。