現地レポート:アルゼンチン、「南米のパリ」と呼ばれた美しい街と、世界遺産の大自然というふたつの魅力

  • 2013年11月19日

「南米のパリ」ブエノスアイレスへ
さらに世界遺産バルデス半島の野生に出会う

野生動物の宝庫、バルデス半島で
クジラのジャンプに興奮

プエルトピラミデの見晴台から眼下でくつろぐゾウアザラシのハーレムを望む

 パタゴニア地方のバルデス半島は、1999年にユネスコの世界自然遺産に登録された。ブエノスアイレスから空路南へ約2時間、トレレウの空港ではロビーで恐竜の模型が出迎えている。基点とするのは空港から車で1時間ほどの場所にあるプエルトマドリンの町だ。プエルトマドリン空港へのフライトもあるが、便数も多く、朝も移動できるトレレウ行きのほうがスケジューリングしやすい。

ひときわ身体の大きなオスのゾウアザラシの周囲をメスが囲んでいる

 奈良県と同じくらいの大きさのバルデス半島は、長崎の出島のように、島が細い陸地で大陸と繋がっている。半島の付け根のもっとも細い場所で幅5kmほど。プエルトマドリンからバルデス半島の入り口までは、車で約1時間。管理事務所で自然保護区入場料を支払ってから、その先に進む。併設されている博物館にはクジラの骨の標本や、バルデス半島の生き物たちに関する展示があるので立ち寄りたい。

豪快なジャンプを見せてくれたミナミセミクジラ

 バルデス半島では、北部のプンタノルテ、東部のカレタバルデスなどで、ゾウアザラシやマゼランペンギンなどを見ることができる。そして半島南側のヌエボ湾に面したプエルトピラミデでは、ゾウアザラシのコロニーを望むことができる高台にも行っておきたい。プエルトピラミデにはバルデス半島唯一の小さな町があり、ホエールウォッチング船のベースとなっている。見ることができるのはミナミセミクジラだ。

クジラはホエールウォッチング船の目の前に顔を出すことも

 ゾウアザラシ、オタリアは年間を通して見られるが、クジラやシャチ、ペンギン、イルカにはシーズンがある。ツアーを組む際にはどの生き物が見られる季節なのかを考えてからの出発日の設定が必要だ。また、ホエールウォッチングは海況によっては出港できないことがある。できればバルデス半島で2日間取り、初日にスケジューリングして、万一海が荒れても翌日に振り替えることができるようにするが得策だ。

 クジラのシーズン、海の上はかなり冷えるし、風が吹くと海水をかぶることもある。防寒着やカッパなど、快適な観光のための準備をしっかりアナウンスしておきたい。運がよければクジラの大ジャンプを見ることができる。


ペンギンのコロニーで
小さなアイドルたちとふれあう

バルデス半島を自由に走り回っているグアナコ

 ホエールウォッチングの後は、バルデス半島北部のプンタノルテまで移動してからのランチとなった。昼の時間を過ぎてしまうものの、牧場に隣接したレストランの新鮮なラム肉の炭火焼きは絶品だ。ここはマゼランペンギンのコロニーに近いので、食後すぐにペンギンたちに会いに行くことができる。

人間がいてもお構いなしに巣穴に向かうプンタノルテのマゼランペンギンたち。写真も撮り放題だ

 プンタノルテのペンギンコロニーでは、彼らが行き来する間を縫って歩かなければならないほど、たくさんのペンギンに出会うことができた。遊歩道の両側に白い石が置いてあり、その中を通るようになっているが、ペンギンは自由に横切るので、こちらが避けなければならないことも。もちろん、人間が危害を加えないと分かっているからこその行動なので、触ったり追いかけたりしないようくれぐれも注意したい。



ペンギンのカップルが仲よく寄り添っている姿はほほえましい

 ここではビーチの近くまで行くことができるので、日が傾き始めた頃、ペンギンたちが海からビーチに帰ってくる姿も間近で見られる。同じ頃に帰路につけば、プエルトマドリンのホテルに着くのはちょうど夕食の時間だ。