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訪日増めざし品質認証制度を活用、ブランド力強化も

  • 2013年10月24日

実態が見える品質表示を活用、日本のブランド化へ

雪国観光圏代表理事の井口氏 さらに、シンポジウムではSAKURA QUALITYを実際に導入している雪国観光圏代表理事の井口智裕氏が、経験を元にその効果を説明した。井口氏は、地域の魅力の訴求にはブランド化が鍵になるととの考えで、そのためには顧客の期待を的確に把握し、期待値を上回るサービスを提供することで満足度を高めることが重要と説いた。

 訪日外国人の場合、日本人ならば感覚としてわかる高級旅館と民宿の違いを理解することは難しく、期待値と満足度のミスマッチが起こることが多々あり、井口氏は結果的に訪日外国人観光客を地方から遠ざける阻害要因になっているという。

 このため、期待値を把握し施設側が提供できるサービスを明確に表すシステムが必要不可欠との考えから、SAKURA QUALITYを導入。サービスの内容が顧客に一目瞭然であることに加え、旅館側も1ツ星、2ツ星の旅館が無理をして4ツ星のサービスを提供する必要もないことから、効率的な運営にもつながるとした。

 井口氏は、「品質認証を受けたオペレーターが品質認証を受けた商品を売る。これこそが日本ブランドであり、全国のどの地域にも同じことが言える」と強調。全国共通の基準で顧客わかりやすく品質をアピールすることが大切だと訴えた。

松本大学総合経営学部観光ホスピタリティ学科教授の佐藤氏 ただし、品質保証には非常に細かい評価項目があるため、対応しきれない事業者もでてくる可能性があるとモデレーターの佐藤博康氏は指摘する。しかし、篠原氏、丸尾氏はそれぞれの制度について、「排除するのではなく改善をするための認証システム」とし、あくまでも品質向上のためのものである点を強調。

 さらに、篠原氏は「インバウンドの目標値が掲げてあっても、それはなにも数を稼げばいいというものではない。日本が一丸となってより良い日本を作り上げていき、外国人がそれを評価してくださった結果が渡航者数に現れるのだと思っている」と語り、日本全国で取り組むことこそ意味があると参加者に協力を呼びかけた。

 

取材:岩佐史絵