TUI会長、デジタル活用で顧客との関係強化を-JATA基調講演より

  • 2012年10月9日

旅行の個人化でニーズも多様に
顧客とのコミュニケーションが重要

基調講演には822名が参加した  もう一つの変化として、フレンゼル氏は消費者の個人化と、それに伴いさまざまなニーズが生まれている点をあげた。ライフスタイルが多様化するなか、消費者は自分に適した経験を求め、数多くある商品の中から自由に選び取る傾向がより強まっていると指摘。すでに各企業での取り組みは始まっており、例えばファッションの分野では、ナイキが靴の人気モデルをもとに、消費者自身が色や素材、サイズなどをカスタマイズできる商品を用意。自動車業界でも、ポルシェがウェブサイト上で車のモデル、インテリア、オプションなどをカスタムメイドできるようにしている。

 フレンゼル氏は、旅行業においても同様の傾向があることを指摘する。「信頼されている旅行会社は、(他の)お客様にまったく同じ休日を提案することはない」とし、例えばTUIでは消費者の具体的なライフスタイルの差に注目し、セグメントごとに差別化した商品を提供していると紹介した。ここ最近ではヘビーメタルをテーマにしたクルーズを実施し、2000室のチケットを1日で完売したという。また、提案の一例として、ストックホルム空港にあるボーイングB747型機を改造したホテルをあげた。全27室とキャパシティも少なく、宿泊料金は1泊500ドルと高額だが、航空機のなかに滞在できる体験が人気を博し、常にほぼ満室だという。