中国国家観光局、JATA旅博の出展中止-尖閣問題の影響、羽田国交相も懸念

  • 2012年9月16日

2010年のJATA世界旅行博では、中国ブースに展示はなく、縦看板が立っていた 中国国家観光局は、JATA旅博2012へのブース出展を中止した。日本旅行業協会(JATA)によると、13日に中国国家観光局側から出展キャンセルの連絡があり、確認したところ、中国本国の決定により中止するとの回答があったという。これを受け、JATA会長の菊間潤吾氏は「我々としては残念なことになったと思っている」と遺憾の念を示した。

 菊間氏によると、海外渡航者のうち中国への渡航者は20%強を占めている。現在中国への旅行のキャンセルが発生してきていることから、「2012年の渡航者数は1880万人を越える過去最高の予測だが、こういう問題で(渡航者数の伸びが)鈍るのではないかと少し感じている。はやく落ち着きを見せてほしい」と述べた。

 中国国家観光局は2010年のJATA世界旅行博でも、尖閣諸島問題などで「出展はするが展示はしない」としており、会場の中国ブースは空白地帯となった。2012年は10コマ90平方メートル分を出展する予定だったという。JATAでは出展中止に伴い発生した空きスペースを埋めるため、代替案を検討中だ。

 こうした中国側の動きに対し、国土交通大臣の羽田雄一郎氏は14日の定例会見で、観光への影響に懸念を示した。同氏によると、日本政府観光局(JNTO)在中国事務所を通して状況を確認しているが、訪日旅行の新規予約が伸び悩んでおり、旅行がキャンセルとなるケースも発生。羽田氏は「日中観光交流の拡大は重要な課題と認識しており、着実に交流を積み重ねていくことが必要」であるとし、「外交的にしっかりと、中国の外交部と連絡を取らせていただく中で、観光や交流について影響がないようにしなければならにと思う」と述べた。