震災後は“つながり”求める傾向強く、ネットと店頭の役割明確に

  • 2012年3月13日

変化への対応
旅行における営業戦略

ジェイティービー(JTB)常務取締役、JTB西日本代表取締役社長 日比野健氏  ここでひとつ、商品企画をしていく上で参考にしたいのは、冨塚氏のいう「平均が売れ筋というわけではない」ということだ。旅行価格は高額のものと廉価のものと二極化する傾向にあり、平均値を割りだしてその額の商品を造成したところでそれは「まったく売れない商品」になりかねない。百貨店でも震災後、「純金など価値の変わらないものを求める傾向にあり、多少高くても価値を認めれば購入に動く」(鈴木氏)のだという。

 また、震災後に限ったことではないが、日比野氏によれば企画商品の90%以上は店頭で売れている。しかし方面別では差異があり、アジア方面の場合はネット予約が50%に達するのに対し、ヨーロッパは8%に過ぎない。顧客単価の平均でいえばネットでは8万9000円、店舗では17万3000円となっており、「消費者は使い分けをしている」と見ている。

財団法人日本交通公社(JTBF)会長 志賀典人氏  アメリカではネット予約にかげりが見え始めていると言われているが、これについて日比野氏は、「『信用できる人』との取引を望む人が増えたため」との見解を示しており、旅行業界でも「パーソナルアドバイザー」を設置し、直接顧客に応対しより細かな要望に応えた企画作りがなされている。

 こうした傾向から、JTB西日本では、店頭とネットでの商品に違いをもたせるなど、パッケージツアーの質の向上をはかる考えだ。また、昨年前年比60%増の伸びだった高額商品は、熟年、シルバー層をターゲットに店頭での販売を強化するねらい。このほか、資格制度の活用などで店頭スタッフの質を引き上げることで、来店することでのメリットを高め、さらに質と価格の高い商品を買ってもらえるように促したいという。

 モデレーターの志賀氏は「21世紀に入って10年、認識と行動が勝敗を決めたのではないか」という。時代の動向の認識は誰もがすることだが、それに対応して行動を起こした者が“勝つ”という図式ができている。また、これは震災にも当てはまることで、「想定外」に対応していくこともまた、旅行業界に求められていることのひとつである。




取材:岩佐史絵