溝畑長官、当面の観光に関する取り組み−各都道府県知事などに文書発出

  • 2011年4月13日
 観光庁長官の溝畑宏氏は4月12日付けで、当面の観光に関する取組について文書を発出した。宛先は各地方運輸局長等、各都道府県知事、各政令指定都市市長、各関係団体の長としている。以下、全文。


当面の観光に関する取組について

 この度の東日本大震災により被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。

 現在、我が国は、この大地震や津波、それに伴う原子力発電所事故の発生により、未曾有の危機に置かれています。

 全国の様々な分野で多大な影響が生じておりますが、様々な活動の自粛等もあり、観光に関しても、直接の被害があった地域だけでなく、それ以外の観光地においても旅行者が著しく減少するなど、各地域にとって深刻な状況となっております。

 現時点は、被災地におけるインフラ等の復旧作業や医療活動などの被災者への直接的な支援が重要な局面にありますが、その一方で、被災を免れた各地域から観光により「日本の元気」を積極的に発信していくことも、被災地への経済的かつ精神的な応援になると考えております。

 こうした観光の役割を踏まえて、観光関係者の皆様が、例えば、祭事等をはじめとする季節に対応した地域行事、文化やスポーツ等の地域資源を活かしたニューツーリズムへの取組、国際会議や外国人旅行者の誘致への取組など、現在の厳しい状況を踏まえつつ積極的な観光に関する取組を行うことは、我が国の置かれている困難な状況を経済を萎縮させずに乗り越え、世界に日本の元気な姿を示していくためにも、意義があるものと思います。

 また、東京電力・東北電力管内の観光関係者におかれましても、被災地域の状況や被災された皆様の心情に十分配慮するとともに、様々な工夫による節電努力を行いながら、観光に関する取組を継続的に行うことは、地域全体の活性化に資するものと思います。

 こうした取組の実施に際しては、被災された皆様の意向も踏まえたチャリティの実施や観光施設への招待など、被災された皆様への支援にも寄与する形を並行して実施していただければ、なお望ましいものになると考えております。

 今後の被災地への対応については、地域のそれぞれの実状に応じ、地元のご要望を踏まえつつ、観光庁としても最大限の支援をしていきたいと考えております。

 今後、復興が進めば、観光産業は、被災から新生した地域を支える大きな柱となります。その時のためにも、関係各位におかれましては、日本全体の観光産業をもり立て、「観光で日本を元気に」「復興する日本の姿を世界の人々に見ていただく」という強い気概を持って、日々の業務に邁進していただければと存じます。


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