【総評】苦しい時こそ笑顔と明るさを−義援金ご協力のお願い

  • 2011年3月19日
 3月11日から1週間が経過しました。テレビやラジオ、新聞、インターネット、ありとあらゆるメディアで届く地獄絵図、東京でもひっきりなしに続く余震、停電の不安、そして一向に状況が改善するように見えない原発の事故――。本当に悪夢のような1週間でした。私にとってそうなのですから、被災地の方々は想像を絶するような苦しみの中にあるはずです。心からお見舞いを申し上げます。また、お亡くなりになった方々とご家族の皆様に、謹んで哀悼の意を表します。

 今週は、旅行者数の把握や停電、航空会社の路線やスケジュール変更、欠航、めまぐるしく変わる航空券の取消料免除の規定など、様々なニュースを掲載しましたが、最大の懸念は、行き先が国内か海外かに関係なく旅行需要そのもののが冷え込んでしまうことでしょう。

 もともと諸外国での政情不安や災害などの“風評”に影響を受けやすいことで有名な日本人が、国内の震災で亡くなった犠牲者を悼みつつ、自分は旅行を楽しむことは、個人的な感情を考えても想像しにくいものがあります。すでに、全国旅行業協会(ANTA)の栃木県支部のみで、3月15日までに約2000名のキャンセルが発生したそうです。当然ながら諸外国からのインバウンドも落ち込むでしょう。

 需要低迷は、経済的な打撃も予期されるなかで、残念ながら避けることは難しいでしょう。体力のある大手の旅行会社であればまだ良いですが、そうでない会社では相当な経営上の困難に直面するはずです。ANTAの3月16日の理事会では、観光庁に対して旅行業の更新登録について1、2年の特例措置を要望する案が出たといいます。このような未曽有の危機の中で、旅行会社の窮状が矮小化されることを懸念していますが、観光庁には適切な対応が望まれます。

 日本全体にとっても、旅行業界にとっても、復興の道のりは気が遠くなるほど長いものがあります。というよりも、まだスタートラインすら見えない状況です。このような中で語れることは限られますが、お客様に旅行を通じて幸せを提供する旅行産業に携わる身として、笑顔と明るさを忘れないようにしたいものです。

 旅行産業として笑っていよう、明るくいよう、という主張は総評でも常々してきましたが、自分たちだけでなくお客様も辛い時こそ重要であるはずです。原発や余震、停電など、まだまだ心のやすまらない日々が続くとは思いますが、病は気からと言いますし、「日本は、そして日本の旅行業界は必ず復活するんだ」という気持ちだけは忘れずにいたいと思います。

 なお、トラベルビジョンでは、ウェブサイト右上部の通り義援金の募集を開始いたしました。また、チャリティー広告の実施も検討しているところです。被災地の復興は日本の復興につながり、ひいては旅行市場の回復をもたらすと信じ、微力ではありますが、できることを一つずつしてまいります。皆様のご協力を賜りますよう何卒お願い申し上げます。(松本)


今週は、東北地方太平洋沖地震を受けて特別誌面としたため、アクセスランキングは
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