ANAグ、第3四半期は大幅な増収増益−ビジネス需要回復、羽田線も好調

  • 2011年2月1日
 ANAグループの2011年3月期第3四半期累計期間(2010年4月1日〜12月31日)の連結業績で、売上高は前年比12.5%増の1兆391億4500万円、営業損益は777億700万円の黒字(前年、以下同じ:378億800万円の赤字)となった。経常損益は583億3000万円の黒字(576億3100万円の赤字)、四半期純損益も375億4200万円の黒字(351億9600万円の赤字)に転換した。国際線のビジネス需要の回復をはじめ、需要が堅調に推移しており、羽田国際線の新規路線も好調。2009年の景気後退や新型インフルエンザの影響による需要減の反動もあり、前年に比べて大幅な増収増益となった。

 営業費用では、首都圏空港の発着枠の増加による事業規模の拡大にともない、航空機材費、燃油費や空港でのハンドリング費などの生産連動費用が増加。しかし、販売費用の削減や事業コストの見直しなど、年間860億円の削減をめざすコスト構造改革の実行することで、前年から1億円減の9614億円に抑えた。


▽航空運送事業は売上高14%増−旅行事業は売上高1.6%減も営業利益32億円

 航空運送事業では、売上高が14%増の9307億1200万円、営業損益が702億円の黒字(399億円の赤字)となった。このうち、国際線旅客事業の売上高は37.3%増の2150億円と大幅に増加。尖閣諸島問題の影響により、11月以降中国線ではレジャー需要が落ち込んだが、全方面でビジネス需要が順調に回復しており、円高の影響でレジャーも堅調だった。さらに、羽田空港の新国際ターミナル供用開始にともなう新規路線開設や増便、成田/ミュンヘン線の開設なども奏功し、国際線旅客数は14.5%増の390万6000人と前年を上回った。旅客単価もビジネス需要が牽引し、19.9%増の5万5035円と大きく増加した。

 また、国内線旅客事業の売上高は4.7%増の5030億円だった。予約動向に応じた機材の大型化や臨時便の運航、「スーパー旅割」の拡充などにより、国内線旅客数は4.5%増の3155万3000人となり、旅客単価も0.2%増の1万5942円と増加した。

 ANAセールスを含む旅行事業の売上高は1.6%減の1248億円。旅行商品販売は堅調だったが、販売手数料の減少などにより前年を下回った。営業損益は販売費用のコスト削減により、32億円の黒字(20億円の赤字)となった。募集型企画旅行の収入は、海外旅行は2.2%増の170億430万円、国内旅行は前年から2300万円減の1000億800万円と微減した。

 なお、3月の連結業績予想は、第2四半期決算で修正した売上高1兆3770億円、営業利益700億円、経常利益370億円、当期純利益60億円のまま変更しない。全日空(NH)上席執行役員財務部長の金澤栄次氏は、日本の景気回復が足踏み状態であること、原油価格の高騰、海外景気の下振れに対する懸念、為替レートの変動などによる先行きの不透明感などを理由にあげた。


▽羽田線は「総じて順調」、成田線との競合は「懸念は無い」

 金澤氏は、羽田空港からの国際線新規路線について「総じて順調に推移している」と好調さをアピールした。成田空港からも就航している、羽田発ロサンゼルス、ホノルル、バンコク、シンガポール、台北(松山)行き5路線の搭乗率は、12月は84%、1月は85%だった。一方、成田発5路線の搭乗率は11月も85%、12月が87%。羽田路線とほぼ同規模で推移しており、金澤氏は「今のところ羽田と成田の食い合いという懸念は無い」との考えを示した。


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※訂正案内(2011年2月3日 12時25分)
訂正箇所:第2パラグラフ第2文
誤:前年から1億円減の9615億円に抑えた。

正:前年から1億円減の9614億円に抑えた。