アクセスランキング、1位はACの羽田線中止、2位はチャーター計画見直し

  • 2011年1月29日
[総評] 今週は、上位3位を最近の航空関係の動きを象徴するような記事が占めました。まず、1位はエア・カナダ(AC)が羽田線の就航を無期延期したもので、これは需要動向が予想を下回ったことが原因といいます。昨年から大きな注目を集めてきた羽田空港の国際化ですが、話題としての盛り上がりと需要の動向が必ずしも一致していないと推測されます。一方、3位のアメリカン航空(AA)は、一度1月から3月に延期した羽田線の就航日を再び変更し、2月に前倒ししました。

 AAは、需要が拡大し始める3月に向けて、早期に路線を軌道にのせることがねらいとしていますが、ACも含めて旅行業界に混乱が起きていることは否めません。商品造成やパンフレット作成のサイクルもあり、皆様の中で影響を受けた方も多いはずです。

 ただ、もともと航空会社側も羽田路線を「まったく新しい市場」と表現しており、例えばACも観光局などと共同で様々なプロモーションを計画するなど、お金と時間をかけて手探りで需要喚起に取り組んでいました。こうしたことを考慮すると、誰かが一方的に責められるような話ではなく、むしろ「羽田狂騒曲」への警鐘と捉えても良いのではないかと思います。現在の「長距離路線=深夜早朝枠」という制約の是非について、成田空港との関係を含めて考える機会にもなるでしょう。

 また、今週の2位には、サニー航空(S1)のチャーター計画についての記事が入りました。S1はタイの航空会社で、昨年末からの運航を計画したものの実現できませんでした。政府がチャーター関連の規制を緩和する中で、オフラインの航空会社がチャーター計画を打ち出すケースが多くなっていますが、必ずしもすべてがうまくいく訳ではありません。最近では、同じくタイのビジネスエアー(8B)がシェムリアップやデンパサールへのチャーターを計画し、間際になって就航中止となっています。

 チャーターが飛ばなければ、ホールセラーだけでなく販売店、そしてお客様にも影響が及びます。大手旅行会社がチャーターへの注力を表明する中で、こうしたリスクにどのように対処するかは今後ますます大きな課題となるはずです。その意味では、S1日本地区総代理店の方が説明されているように、航空会社サイドの「確実さ」が重視されるようになりそうです。

 なお、トラベルビジョンとしても、チャーター関連の情報発信のあり方について再考しているところです。というのも先日、8Bを利用するツアーをお客様に販売された方から、華々しいチャーター計画ばかりを取り上げ、実行段階の取材がおろそかであるとのお言葉をいただきました。

 皆様のビジネスにつながる情報をお伝えすることがトラベルビジョンの勤めであり、安心して情報をご活用いただけなければ存在意義すら失います。チャーターは今後の旅行業界にとって重要な役割を果すと考えられますが、だからこそ厳しい目を持って情報を精査し、皆様のリスク軽減に資するよう努力していく所存です。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年1月第4週:1月24日2時〜1月28日18時)
第1位
エア・カナダ、羽田線の就航中止、需要予想下回る−カルガリー線は増便へ(11/01/28)

第2位
サニー航空、2月、3月のチャーター計画も中止−4月以降に仕切り直し(11/01/26)

第3位
アメリカン航空、羽田/ニューヨーク線就航日を繰上げ−2月20日に決定(11/01/24)

第4位
ニュージーランド政観、新プロモーション展開でロゴをリニューアル(11/01/24)

第5位
キャセイ、フェイスブックでキャンペーン、80日間の世界旅行を募集(11/01/27)

第6位
オーストラリア政観、「地球のしゃべり方」放映中のつぶやきにプレゼント(11/01/25)

第7位
中国国旅、訪日旅行は巨大な潜在市場−仕入れ高騰とガイドの質が課題(11/01/24)

第8位
アシアナ航空、A380を6機発注、欧米基幹路線に投入へ(11/01/26)

第9位
ルフトハンザ新CEO、11年は回復から成長へ−日本は持続的成長のモデルに(11/01/25)

第10位
モスクワの空港爆破事件、外務省が注意喚起−旅行者への影響は軽微か(11/01/26)