KNT、上期ホリデイは8%増22万人めざす−LCC利用は「計画なし」

  • 2011年1月21日
 近畿日本ツーリスト(KNT)は、2011年度上期(2011年4月〜9月)のホリデイとインターネット専用商品「クリッキー」について、全国の販売目標人数を前年比8%増の22万人に設定した。売上高は10%超の増加をめざす。KNT個人旅行事業本部カンパニー海外旅行商品事業本部本部長の田口久喜氏は、「高収益を生む(比較的)高単価で高価値の商品の展開をさらにパワーアップしていきたい」と意気込みを示した。ホリデイの基本コンセプトでは、引き続き「お客様の快適さを追及するサービスの提供」を基本に、「価値ある商品」の提供をめざす。

 具体的には世界遺産をメインにした「世界遺産シリーズ」や、ハネムーナーに人気の「ビーチリゾート」シリーズなど、旅行の形態や目的を明確にした商品を拡充し、顧客に価値を訴えていく。世界遺産では昨年好評だったアンコールワットの商品にハロン湾を組み合わせた。「ビーチリゾート」シリーズには「アジアビーチ」を増設し、ハネムーン専用商品も用意。ジェイティービー(JTB)が昨年から強化している「並び席」は、KNTでも組み込みのコース数を増やしつつ、並び席ではないツアーも価格差を付けて継続設定し、選択肢として提供する考えだ。

 また、IT運賃の減少など難しさが増す航空仕入れ関係では、繁忙期にチャーター便を増加。ゴールデンウィークはミクロネシアを中心に、前年比50%増の座席数を確保。夏休みはハワイやヨーロッパを中心に展開する。また、羽田線は特に「(深夜早朝枠利用のため)ビジネスで使いにくく、座席に空きがあるアジア方面」に注力する。

 このほかLCCについては、まずはチャーターへの取り組みを優先する考えで、現時点でパッケージとして取り組む計画はないという。一方、公示運賃については、パッケージ化は現在のところ取消料の問題などから困難としつつ、「飛行機とランドを別に売るような、“手配旅行の商品化”は考えている」といい、ウェブサイトでの販売に向けたシステム改修も視野に入れているとした。

 なお、KNTの会計期間である2010年(2010年1月〜12月)の累積販売人数は、韓国や中国が政情不安の影響で伸び悩んだことで、3%減の約40万人を見込む。ただし、単価の高いヨーロッパやアメリカなどの長距離方面が好調であることから、売上高は7%増を予想。2010年度下期(2010年10月〜2011年3月)で見ても売上高は10%増で推移しており、販売人数は韓国や中国の落ち込みを長距離方面の増加が相殺し、前年並みに着地する見通しだ。



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