名鉄観光、中間期で黒字転換−海外旅行は人数27%増、営収も24%増

  • 2010年9月29日
 名鉄観光サービスの2010年12月期中間期(2010年1月1日〜12月31日)決算は、純損益が3320万7000円の黒字(前年:1億1727万9000円の赤字)に転換した。旅行業では、海外旅行の取扱人数が27%増の5万3000人となるなど好調であったほか、貨物部門も業績が回復。全体の営業収益は前年比8.5%増の79億7329万9000円、営業損益は7816万3000円(同:1億5616万2000円の赤字)、経常損益は9940万円の黒字(前年:6760万3000円の赤字)となった。

 旅行業では、教育、スポーツ、宗教など重点団体への営業を強化。また、2月には訪日旅行専門の部署を立ち上げたほか、名古屋鉄道が運営していた駅内店舗の事業移管を受けた。こうした結果、旅行業全体での営業収益は3%増の51億3386万2000円となった。営業費用は50億6534万6000円で1%増にとどまっており、貨物を含めた一般管理費も5%減となっている。

 海外旅行では、欧州の火山噴火やタイのデモなどもあったものの、前年の新型インフルエンザなどからの反動や上海万博、円高などの追い風もあり好調に推移。留学事業も、業務提携先である地球の歩き方T&Eから出向社員を受け入れたこともあり、取扱高が伸びたという。旅行形態別では、昨年苦戦した団体が大きく伸びたほか、個人旅行も堅調に推移した。こうした結果、営業収益は24%増の10億4800万円となった。

 デスティネーション別の動向では、「シンガポール・マレーシア」方面をのぞく全方面でプラス成長。特に中国と欧米、オセアニアは50%以上の伸びを示した。(方面別詳細は下表を参照のこと)

 一方、国内旅行は宿泊者数が微増したものの単価が下落。宮崎での口蹄疫の発生なども影響し、営業収益が2%減の40億8600万円となった。旅行形態別では、団体旅行が堅調に推移したものの、オンラインでの直販化などの影響で個人旅行が苦戦した。


▽重点団体をさらに強化−羽田国際化、オンライン販売への注力も

 今後の戦略では、重点団体をさらに強化。また、羽田空港の国際化にも対応するため、羽田と成田発着の航空座席の仕入れや手配業務を担う「商品事業本部海外旅行部東京海外企画仕入センター」をすでに新設。さらに、名鉄グループとして旅行事業の効率化をめざした検討を続ける中で、名鉄観光の基幹システム「Mたび」をグループで共有し、システムの効率化や審査・精算業務の一元化、グループ商品の販売拡大に向けて取り組む。

 また、オンライン販売にも力を入れる。宿泊予約システム「まいやど」専任者を設置するほか、メディア販売部を中心として全国のオンライン販売を拡充。ウェブサイトの検索機能向上を含めたリニューアルも実施する方針だ。

 このほか、経費削減や効率的な営業体制の構築にも取り組み、さらに内部統制の強化などCSR経営を積極化する。