フィンエアーCEO、東名阪デイリーも「不十分」−アジア/欧州間旅客数2倍へ

  • 2010年9月13日
(ヘルシンキ発:本誌 松本裕一) フィンエアー(AY)は9月9日、ヘルシンキで各国メディアを対象にプレスブリーフィングを開催し、今後の事業展開について発表した。AYはアジアと欧州間の航空需要の取り込みを基本戦略で掲げ、日本でも2001年には成田線の週2便のみであったのに対し、2011年夏スケジュールには成田、関空、中部の3路線をデイリー化する予定であるなど、急速に拡大を続けている。今後もこの基本戦略は堅持する方針で、さらに路線網を拡充するなどし成長をめざす。

 AY・CEOのミカ・ベフビライネン氏は、アジア/欧州間の需要が2015年までに2倍になるとの予測を示し、AYとしては市場シェアの維持を目標にすると説明。AYのアジア/欧州間の旅客数は2007年のピーク時に120万人で、予測どおりであれば240万人をめざすことになる。特に、ビジネス需要の取り込みを主眼とし、ヘルシンキ経由による時間短縮のアピールを継続する。

 また、2020年のビジョンとして、旅客輸送量をあらわす有償旅客キロ(RPK)、収益性、サービスの質の面で「北欧系航空会社の中でナンバーワン」をめざすと説明。さらに、「アジア/欧州間の航空市場のうち、ハブ空港/ハブ空港の単純往復以外の移動において、最も望まれる航空会社になる」こともめざすという。

 これは、独仏英のメガキャリア3社を意識したもの。例えば、フランクフルト、パリ、ロンドン以外の各国の地方空港からアジアへの航空需要に対して、AYが3社よりも利便性の高いサービスを提供することで「デフォルト・チョイス(最初に選ばれる選択肢)」をめざす考えだ。

 このビジョン達成のための方策の一つとして、リブランディングに着手。ロゴや機体の塗装、内装などを一新する計画だ。詳細は明かさなかったものの、「デザイン」をコンセプトとし、細分化する旅行者のニーズに対して「テーラーメイド」のサービスを提供するという。新機材を受領し、新しい塗装を終える12月上旬に公表する予定だ。

 また、路線網の拡充も進める。ベフビライネン氏は、新規路線の開設や運航頻度の増加について「明確な目標を設けているわけではないが、旅客数が倍になるとすれば当然考えなければならない」と説明。2014年以降に受領予定のエアバスA350XWB型機による1便あたりの座席数増加とともに、望ましい選択肢を検討するとした。

 日本路線については、2011年夏に合計週21便を運航することになるが、「十分であるとは考えていない。さらなる(拡大の)機会を探る」とコメント。羽田空港についても「興味はもちろんある」といい、「成田のデイリー化も10年以上待ってようやく実現しており、もしスロットが得られるのであればその機会の活用を検討する」考えを示した。