JTBWV、羽田商品販売拡大へ地域別の販促が鍵−パンフ造成に課題も

  • 2010年9月6日
 JTBワールドバケーションズ(JTBWV)はルックJTBで、10月末から1月末までの羽田発着路線を利用したパンフレットを8方面で展開中だ。ジェイティービー(JTB)では下期商品発表時に、羽田発着商品の投入を含めて2010年度下期商品で前年比7%増の販売人数をめざすとの目標をかかげている。JTBWV常務取締役八木澤昌弘氏は本誌取材に対し、「年末年始を中心に予約が伸びている」と話しており、成田利用商品の販売規模を維持、拡大しながらプラスアルファとして羽田をどこまでつみあげるかが重要という。今後は、地域別の需要動向を見極めながら、地域別の販売促進について戦略をたてていく考えだ。

 八木澤氏によると、首都圏は神奈川や埼玉の一部、また静岡や中部地方にあたる山梨の需要がある。また、成田よりも国内線乗り継ぎが便利になるため、地方によっては羽田を利用したいという需要も見込める。方面によって前泊や後泊が必要な場合もあるが、例えば、青森や秋田では宿泊しても羽田出発を支持する声が多いという。前後泊しても羽田を選ぶのか、国内線で羽田に到着後リムジンバスで成田に向かい出発するのを選ぶのか、地域ごとに顧客のニーズを把握して販促していく。

 販売面ではパンフレット造成の課題もあるようだ。現在ではまだ羽田発着の国際線のスケジュールがすべて出そろわず、運航開始が決定するのにあわせて順次商品を企画していることもあり、羽田発商品のみのパンフレットとして印刷。これに対して、店頭では成田と羽田の商品内容を1冊のなかで説明できたほうがいい、という声や、合冊するとパンフレットが厚くなり設置場所に困る、という考えもあるという。さらに、「神奈川など地域によっては羽田のみで成田は置かない、という店舗が出てくる可能性もある」とも指摘する。1ヶ月以内には全国の店舗の意見を集約しながら決定する予定だ。

 また、八木澤氏は、航空座席確保における海外旅行活性化の必要性に言及する。成田、羽田ともに供給量は増えたものの、機材のダウンサイズ化も進んでおり、「今、日本人のアウトバウンドを盛り上げないと、日本発の座席は少なくていいという航空会社もでてくるのでは」と業界に警鐘を鳴らす。「業界が危機感をもってアウトバウンドを盛り上げていく必要ある」と述べ、「消費者にとって商品の幅を広げて選択肢を増やし、海外旅行に行ってもらいたい」とアウトバウンドのさらなる活性化に意欲を示した。


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