JNTO、東アジア市場に重点置き1000万人達成へ−10年度事業計画を策定

  • 2010年5月19日
 日本政府観光局(JNTO)はこのほど2010年度事業計画を策定、1000万人達成に向けた具体案を提示した。JNTO理事長の間宮忠敏氏は、2010年度がビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)最終年度にあたるとともに3000万人プログラム第1期のスタートと重なることから、「訪日事業にとって節目の年」ととらえ、「目標達成に向けて貢献していきたい」と意気込みを述べた。3000万人プログラムの第1期にあたる2010年は訪日客の多い中国、韓国、香港、台湾に重点を置き1000万人達成をめざす。

 まず、海外宣伝事業では市場ごとに訴求テーマとターゲットを設定しプロモーションを展開する。これまで中国向けに大阪、京都、神戸をめぐる西日本ツアーの造成を促した。JNTOが造成、販売支援した旅行商品の送客実績は2008年度は全体で47万8000人。今年度は51万8000人の送客をめざし、例えば韓国では温泉と地方都市をテーマにした新たな旅行商品の造成を促す。このほか、旅行業界の人材育成に向け日本に関する基本情報や観光資源などについて学べるEラーニングを実施する。10年度は対象市場に新たにオランダと北欧を加えた。

 国際会議の誘致、開催支援事業では、10年度が「Japan MICE Year」であることから海外の主要MICE見本市などに出展しMICE開催地としての日本をアピールする。また、東南アジア、中国、韓国を三大重点市場としインセンティブ誘致を図るほか大型グループや富裕層インセンティブへ積極的にサポートしリピーター増加をはかる。開催地決定に影響力あるキーパーソンの招請事業もおこないJNTO誘致の国際会議件数目標は75件に設定した。

▽間宮氏、JNTOにしかできないことも多い−仕分け結果を受け見解示す

 行政刷新会議が先ごろ実施した事業仕分けで、JNTOの観光旅客来訪促進業務は一旦国に戻す、受入体制整備のなかでJNTO直営のツーリスト・インフォメーション・センター(TIC)は廃止となった。こうした結果を受け間宮氏は、今後のことは観光庁が検討しているとしたものの、個人的な見解を示した。観光立国推進事業は認知度向上から外客誘致事業まで幅広く、「国際的な信頼、中立性、専門性を基盤とするJNTOにしかできないことやそのほうが効果的なことが多いと考えている」と言う。また、政府、JNTOの役割について、政府は政策策定から予算の確保配分、関係省庁と調整することに対し、そうした政府の基本政策にそって具体的な企画を立案し実施するのがJNTOであると述べた。