KNT、09年12月期は営業収益15%減で損失拡大−店舗網など抜本的見直しも

  • 2010年2月18日
 近畿日本ツーリスト(KNT)の2009年12月期(2009年1月1日〜12月31日)の連結業績で、営業収益が前年比14.6%減の627億8500万円となり、営業損失は前年の31億8600万円から33億3900万円に拡大した。経常利益は31億5700万円から28億9100万円に改善したものの、希望退職にともなう特別損失計上などもあり、純損失は34億1800万円から78億5500万円に落ち込んだ。

 こうした環境下で、2010年12月期には安定的な利益確保のため構造改革を加速。店舗網も抜本的に見直す方針で、ウェブ販売を「飛躍的に」伸ばして直販比率を高めるとともに、赤字店舗と売上高が少なく将来性を見込めない店舗を閉鎖し、収益性を向上。これに合わせて商品企画部門や提携販売部門の地域拠点の縮小、廃止も進める。これらの部門の従業員は、ウェブ販売部門や首都圏地域の強化のために再配置するなど、営業利益を生み出す体制への転換をめざす。さらに、不採算部門撤退の迅速化や年金制度改革、パンフレット原価削減などを実行し、固定費圧縮を推進する。再編後の店舗ではコンサルティング機能を充実し、高品質・高価格商品の販売を進める方針だ。

 最重点強化策と位置づけるウェブ販売では、専用商品の企画要員を配置するほか、コールセンター機能の拡充など体制強化をはかる。専用商品は春以降の商品の準備を進めているところだ。こうした施策により、2012年にはウェブ経由の取扱高を400億円、全体の10%を超える規模まで引き上げる考え。

 このほか、団体旅行部門のうちMICE市場では、上海万博やワールドカップ南アフリカ大会、平城遷都1300年祭などで70億円程度の取扱高をめざす。また、2011年の「大遠忌法要」で80億円の取扱高を達成するための営業活動も継続する。グローバル事業でも2012年の取扱高90億円の達成をめざす。

 なお、2010年12月期では、営業収益が中間期で7.7%増の310億円、通期で11.5%増の700億円を予想。営業損益も中間期は24億円の赤字ながら通期には13億円の黒字化をめざす。また、経常損益は中間期が22億円の赤字で通期が17億円の黒字、純損益は中間期が46億円の赤字で通期が2億円とした。