
デルタ航空(DL)社長のエドワード・バスティアン氏とアメリカン航空(AA)財務・企画担当執行副社長兼CFOのトーマス・ホートン氏は12月3日にそれぞれ会見し、経営再建をめざす日本航空(JL)への支援について自社の優位性をアピールした。2社ともにJLにもたらせるメリットの大きさを強調するとともに、DLは10億米ドル以上、AAは11億米ドル以上の出資の用意があると説明した。特に焦点となったのは、DLと提携した場合にATI(独占禁止法適用除外)が認められるか否か。各社が発表する数値は基準や計算方法の違いからそれぞれ異なっていたものの、2社ともに米国運輸長官や運輸省次官経験者を登壇させて自らの主張を裏付けようとするなど激しい攻防戦を繰り広げた。

DLのバスティアン氏は、「欧米からの送客数は、ワンワールドに比べて4倍にできる。JLにとって収入機会が4倍になるということ」、「ATIを含めて、我々がJLにもたらせる価値は毎年10億米ドル以上になる」と強調。ATIについては、米国運輸省(DOT)政策担当次官などを務めたジェフリー・シェーン氏が、過去すべての案件が認められていることや、JLがスカイチーム入りした場合の日米路線のシェアは、米国政府が考慮に入れないリゾート路線を除けば約45%となるが、例えばすでにATIを認められている米国/ドイツ間でのスターアライアンスのシェアは71%であると例示。こうした言葉を受けてバスティアン氏は、「前例は我々に有利。確実に認められる」と自信を見せた。また、スカイチームの財源による10億米ドル以上の投資に加え、「日本政府が第三者による更なる資金調達に関心を持つとすれば、喜んでサポートする用意がある」と語った。

一方、AAのホートン氏はリゾート路線も判断材料であるとし、JLを含めたスカイチームのシェアは62%になると指摘。その場合スターアライアンスは31%で、ワンワールドは6%になることから、競争が阻害されATIの承認は得られないと訴えた。また、11億米ドルの出資、「控えめに見積もって」年間6億円の売上への貢献、DLと比較して高イールドな顧客層を獲得していることをアピールしたほか、ATIを認められない場合の減収効果も強調。ATIについては、元米国商務長官かつ元運輸長官で、シェーン氏の上司でもあったノーマン・ミネタ氏が登壇し、「米国当局は、(3アライアンスが3分の1ずつシェアを占める)現在の競争バランスの崩壊を非常に懸念することになる」と指摘。また、「認めた場合、ワンワールドが『不在』になることも懸念するだろう」とし、DLとの提携でATIの認可を受けるのは困難と語った。
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