JTB、国内店舗の削減に着手、「数は未定」−コスト削減でウェブに注力へ

  • 2009年11月27日
 ジェイティービー(JTB)は、国内店舗の再編の取り組みを開始した。JTB広報室では、一部報道が削減する店舗数を200店舗としていることについては「推測に過ぎない」としつつ、例年以上の規模での店舗網の見直しは「検討を始めている」と認めた。店舗削減の規模、再編の完了時期、人員削減の可能性など詳細は未定であるものの、「大規模になる可能性はある」という。現在の店舗数は、法人営業や企画造成などの部門を含めた事業所登録ベースで940ヶ所。

 店舗再編は「(2009年度を初年度とする)中期経営計画での構造改革の一環」で、コスト削減をねらったもの。新型インフルエンザの影響もあって、JTBグループ14社の2009年度上期の旅行総取扱額は17.7%減の5571億5500万円と苦戦。収益が悪化する中で店舗の再編によりコスト削減を進め、さらにオンライン販売に注力して収益性の改善をめざす。

 オンライン販売は、取扱額全体に占める比率を2009年度見込みの7%から、2011年度には12%にまで拡大する。今後は、オンライン販売する商品も現在の2倍となる約30万種類に増やす計画だ。この点についてJTB代表取締役社長の田川博己氏は、昨年の本紙取材で「ITで投資すべきはハードではなくコンテンツと考えている」と語っており、考えに変化がなければ地域交流などJTBの特徴を生かした商品展開をめざすものと考えられる。また、「JTBホームページ」や今年1月に開設した「トルノス」など自社サイトだけでなく、他サイト経由の申し込みも増加する。

 なお、他の大手旅行会社のうち近畿日本ツーリスト(KNT)では、KNTツーリストを設立した2008年1月から27店舗を閉鎖した一方、23店舗を新規出店。日本旅行でも「大きな動きはない」といい、通常通り店舗の利用動向に応じて統廃合を含めた対応を取っている。2社ともにオンライン販売の強化はねらいつつも、今のところ大規模な店舗網再編の動きは出ていないようだ。


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