鳩山首相も「羽田ハブ化」−所信表明、観光分野の雇用と需要創出にも言及

  • 2009年10月27日
 内閣総理大臣の鳩山由紀夫氏は10月26日、就任後初となる所信表明演説をおこなったが、この中で経済成長策の一環として羽田空港の24時間国際ハブ空港化を進める方針を語った。鳩山氏は、「わが国の空港や港を、世界そしてアジアの国際拠点とするため、羽田の24時間国際拠点空港化など、真に必要なインフラ整備を戦略的に進める」と明言。羽田ハブ化を巡っては国際空港として位置づけられていた成田空港の重要性が低下するとして地元の不満が強いが、そんな中での鳩山氏の発言は、民主党政権が本格的に羽田の国際化を進める考えであることを示すものと考えられる。

 同日国土交通省が開催した成長戦略会議でも、羽田のハブ化について議論。参加した委員からは羽田の国際化を進めることについて賛意の声が相次いだ。民主党がめざす「ハブ空港」の定義は示されていないものの、会議ではビジネス需要の強い路線を羽田にも設定し、業務渡航など対価を払ってでも時間を短縮したいという需要を取り込むなどの案が出された。(関連記事参照

 このほか、旅行業関連では、「コンクリートから人へ」の基本方針のもとで公共事業依存型の産業構造を変革する一環として、医療や介護、子育てや教育とともに観光にも言及。「地域を支える農業、林業、観光などの分野で、しっかりとした産業を育て、新しい雇用と需要を生み出す」方針だ。

 また、東アジアを中心とした文化交流の強化も打ち出しており、「特に次世代の若者が国境を越えて教育、文化、ボランティアなどの面で交流を深めることは、東アジア地域の相互の信頼関係を深化させるためにもきわめて有効なもの」と強調。交流促進に向けては、留学生の受け入れと派遣を大幅に拡充することや、日中韓の大学同士で単位の互換制度を拡充することなどを掲げた。


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