観光庁、10年度予算で14%増要求、訪日2000万人で−新政権で見直しも

  • 2009年9月1日
 観光庁は2010年度予算について、前年比14%増となる72億860万1000円を要求する。行政経費は1%減の22億7000万円と削減した一方、主要事項として(1)訪日外国人2000万人プログラム、(2)国際競争力の高い魅力ある観光地づくりプログラム、(3)旅行需要創出に向けた周辺環境整備プログラムを3本柱に据え、23%増の49億3900万円を要求。これらにより、訪日外国人2000万人時代に向けたプロモーションや環境作りを進める方針だ。ただし、今回の概算要求策定は総選挙前に実施されたもので、民主党が概算要求を見直す方針を示す報道がなされるなど先行きは不透明。観光庁では、「これまでの観光庁の取り組みを踏襲、評価して策定しており、政権が交代したとしても大きな軸が変わることは想定しにくい」としつつ見直しの可能性を認め、状況の進展を見守る姿勢を示している。

 予算概況で示された来年度の事業方針を見ると、要求額が最も大きい訪日外国人2000万人プログラムでは、訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)を拡充する。同事業は、3月の観光立国推進戦略会議で新たに設定した2020年までに2000万人の目標に向けて2010年を「Visit Japan Year」と位置づけ、観光交通関係企業のほかメーカーや食品、小売などの他業種企業とのタイアップや、地域と連携したプロモーションを進める。重点市場には現在の12市場にインド、ロシア、マレーシアを加え、日本政府観光局(JNTO)などと協力しながらプロモーションを展開。MICEの開催・誘致の推進も拡充し、これまでは国際会議を施策対象としていたがMICEへ拡大し誘致する。

 また、訪日外国人旅行者の受入環境整備事業では新たに、受入環境の戦略的整備のための評価基準・評価メカニズムの構築に取り組む。訪日外国人がサービスを受ける宿泊施設や案内所、観光施設などの対応を調査しその内容を評価する仕組みを作ることで改善や発展につなげるねらいだ。本格的な導入は再来年度以降を見込み、来年度は仕組みの構築をめざす。

 国際競争力の高い魅力ある観光地づくりプログラムでは、観光圏形成支援などによる観光地づくりを推進する。これは各省庁と連携することでより総合的に取り組んでいく。観光まちづくり人材育成事業も継続する。新たに取り組むのは船旅の振興で、豊富な観光資源である国内の船旅をネットワーク化し整備することで振興につなげる。旅行需要創出に向けた周辺環境整備プログラムでは、具体的な取り組みの実現に向けて実証実験や調査を実施。観光産業のイノベーション促進事業を継続するほか、休暇取得・分散化促進実証事業は拡充し、関係省庁や経済界、労働界、教育界だけでなく地域とも連携して親子での休暇取得を総合的に推進していく。各事業の概算要求額は下記の通り。

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